キムラユニティーの車両管理システムKIBACO

「サンキュー事故」をご存じですか?

はじめに

 交通事故の中には、「思いやり」がきっかけとなって起こるものがあることをご存じでしょうか。サンキュー事故は、道を譲る・譲られるという善意のやり取りの中で発生する事故です。日常的によくある場面だからこそ危険が見過ごされやすく、誰もが当事者になり得ます。本コラムでは、こうした身近な運転シーンに潜むリスクを改めて整理し、事故を未然に防ぐためのポイントを紹介していきます。

 

サンキュー事故について

2602_2_1.png サンキュー事故とは、交通事故の一種で、優先権がある車両優先権のない車両通行を譲った結果、起こる事故のことをいいます。道を譲ってもらうと、「ありがとう」と思いながら進行するのですが、同時に「早く行かなければ」という心理も働いてしまい、注意力が低下することがこの事故が発生する要因の一つです。好意で道を譲ってくれた対向車へ「ありがとう」と感謝の意を持つことから「サンキュー事故」といわれます。

 サンキュー事故は、運転技術が未熟な人だけに起こるものではなく、日頃から安全運転を心がけているドライバーでも巻き込まれる可能性があります。特に、交通量が多い交差点見通しの悪い道路では、「譲る・譲られる」という一瞬のやり取りが、かえって周囲の状況判断を難しくしてしまうことがあります。善意から生まれる行動だからこそ警戒心が薄れやすく、「まさか事故につながるとは思わなかった」というケースが多いのも、サンキュー事故の特徴といえるでしょう。

 

サンキュー事故の代表的な例

2602_2_2.png 代表的な一例が、「交差点で右折待ちをしているときに対向車が譲ってくれたので右折したところ、対向車の脇からすり抜けてきた二輪車等と衝突する」という事故があります。この場合、右折車から二輪車は死角になるため、事故になる可能性が非常に高いです。右折車は「早く行かなければ」という心理が働くことで安全確認が疎かになり、二輪車を見落としがちになります。

 

なぜ起こるのか

プレッシャー

2602_2_3.png 道を譲られたことで「せっかく譲ってくれたのだから早く進まなければ」という気持ちが生まれ、この焦りから、普段なら丁寧に行っている安全確認が不十分になってしまう恐れがあります。

死角

2602_2_4.png 譲ってくれた車両が視界を遮る形となり、その陰から出てこようとする二輪車等を見落としてしまい、結果として衝突につながってしまうケースがあります。

 

サンキュー事故を防ぐには

慌てないでください

  1. 譲られた状況でも油断せず、自分の目で周囲の安全をしっかり確認してから発進してください。
  2. 譲ってくれた車両がつくる死角を意識し、他の車両や二輪車等が来ていないか確認してください。
  3. 対向車が本当に停止しているか、安全に進める十分なタイミングかを慎重に見極めてください。
  4. 対向車の前を通過する際、一時停止に近い速度まで落として、飛び出しの危険がないか確認してください。
  5. 対向車線の路側帯を逆走する自転車や横断歩道の歩行者など、見落としやすい動きにも注意を払ってください。

 サンキュー事故で特に注意したいのは、「譲ってもらえたから安全だろう」と無意識に判断してしまう点です。しかし、道を譲られたという事実は、あくまで一方向からの安全が確保されたにすぎません。周囲の車両や二輪車、歩行者の動きまですべてが安全とは限らず、むしろ交通の流れが一時的に不自然になることで、危険が潜んでいる場合もあります。譲られた場面こそ、「本当に今進んで大丈夫か」と一呼吸置いて確認する姿勢が、事故を防ぐ大きなポイントになります。

譲る側にも注意が必要です

 譲る側であっても、依然として事故が発生する可能性があることを忘れてはいけません。相手に道を譲る際は、状況を過信せず慎重に判断することが重要です。特に、譲る前には左側のサイドミラーなどを活用し、自車の左後方から二輪車等が接近していないかを必ず確認しましょう。また、相手車両が安全に発進できる状況であるかどうかを見極めてから譲ることで、双方の安全性が高まり、思わぬ事故の防止につながります。

最後に

 サンキュー事故は、「ありがとう」という感謝の気持ちから生まれる一瞬の油断が原因で起こります。譲り合いは交通社会においてとても大切ですが、その気持ちが事故につながってしまうと、思いやりが悲しい結果になってしまいます。大切なのは、譲り合いの心確実な安全確認を両立させることです。思いやりは、事故を防ぐための慎重な判断とセットであることを忘れないようにしましょう。