はじめに
厳しい寒さが続く冬の朝、車に乗ろうとしたらフロントガラスが真っ白に凍っていた...そんな経験はありませんか?寒冷地だけでなく、都市部でも放射冷却の影響を受けて車のフロントガラスが凍結します。送り迎えや出勤などの忙しい時間帯にすぐ車が出せないと、焦ってしまい安全運転に支障が出ることがあります。そこで今回は、フロントガラスの凍結の危険性と、すぐに実践できる解凍方法をご紹介します。
フロントガラスの曇り・凍結の原因
くもりの原因
フロントガラスの曇りの原因は結露です。冬場に車内で暖房をかけている場合、外気に冷やされた窓ガラスで空気中の水分が凝結してフロントガラスに曇りとして発生します。車の内窓がホコリやタバコのヤニなどで汚れていると、ガラスに凹凸ができてしまいきれいな状態に比べ水分が付着しやすくなります。このため、ただでさえ曇りやすい冬の季節は、窓がさらに曇りやすくなってしまうのです。
凍結の原因
フロントガラスが凍結するのは、「放射冷却」が原因です。放射冷却とは、日中に温められた地表の熱が、夜になると上空に向かって放射され、気温が急激に低下すること。特に冬は昼間でも気温が上がらないので、放射冷却によって一層寒くなり、空気中の水蒸気が夜になって冷やされて凍ります。この凍った水蒸気が、明け方に霜となってフロントガラスに降って凍ることになります。
法律違反の可能性
フロントガラスが曇っていたり、凍結したまま走行すると安全運転義務違反の可能性があります。安全運転義務違反での事故では以下のような罰則が課せられます。
違反点数2点
普通自動車:罰金9,000円
また、車同士の事故であっても、安全運転義務違反をしていることが証拠として残っている場合は、過失の割合も高くなるので必ず安全確認を行って運転することを心がけましょう。
フロントガラスを解凍する方法
曇り解消機能「デフロスター」の活用
フロントガラスの内側の曇りを解消してくれる機能が、「デフロスター」です。デフロスターとは「霜取り装置」のことを言います。フロントガラスなどに集中して送風することで乾燥させ、曇りを除去します。オートエアコン装備車ではデフロスターのスイッチをオンにすると、エアコンで除湿された空気がフロントガラス周辺に集中して送風されます。
また、冬場は車内の湿度よりも外気の湿度の方が低い場合が多いので、冬場に発生するフロントガラスの曇りを取るには、乾燥した外気を車内に取り込む「外気導入」が効果的です。同時にエアコンを使用して除湿すれば、より効果を期待できるでしょう。ただし、雨天時は外気の湿度が高いため、外気導入ではなく「内気循環」とエアコンを併用しましょう。
解氷スプレーを活用する
アルコールの特性を活かした解氷スプレーは、吹きかけるだけで瞬時に溶けるので特に急いでいるときにおすすめです。通常0度で凍る水ですが、アルコールと混ざると0度では凍らなくなります。その現象がフロントガラスについた氷の表面で発生し、氷から水へと変わっていくのです。
撥水剤を塗る
撥水剤は、フロントガラスに雨などの水分が付いた時にはじいて視野をクリアにしてくれる効果があります。あらかじめ撥水剤を塗っておくことでガラスが凍結しにくくなり、凍結した際にもスクレーパーなどでこするとスルッと氷が取れるようになります。凍結を予防する意味でも、撥水剤を使うことはおすすめです。
絶対にやってはダメなこと
凍結したフロントガラスにお湯をかけるのはNGです。お湯をかければ手っ取り早く、すぐに溶けると思ってしまいがちですが、絶対にやってはいけません。お湯をかけることでガラスの一部を急激に熱すると、そこだけ熱膨張します。お湯をかけていない他の部分は冷たいままなので、膨張した部分の圧力に耐えられなくなりフロントガラスが割れてしまう危険性があるのです。
最後に
フロントガラスの凍結は、冬の朝に誰もが直面する問題です。しかし、視界不良のまま走行することは重大な事故につながりかねません。フロントガラスの曇りに限らず、走行中に危険と感じたら、速やかに安全な場所に停止させるのが鉄則です。少しの手間で安全が守れるので、必ず解氷作業を行いましょう。便利なグッズや予防策を活用して、寒い季節も快適で安全なカーライフを送りましょう。
