はじめに
運転中の事故や急な故障時に助かるロードサービスですが、最近では高額請求を行う悪質な業者が増えているようです。日本損害保険協会や消費生活センターが注意を呼び掛け、消費者庁でも消費者安全法に基づき悪質な業者名を公表しています。そこで今回は、悪質ロードサービスの手口や被害に遭わないためのポイントをお教えしたいと思います。
悪質ロードサービス被害の実態
内閣府の「レスキューサービスに関する消費者問題についての意見」によると、インターネットで依頼したロードサービスに対しての国民生活センターへの相談件数は2021年から急増し、年々増加しています。
2024年度には過去最多の1,043件の相談が寄せられました。
出典:レスキューサービスに関する消費者問題についての意見(内閣府ホームページ)
<具体的な相談の事例>
1:事前説明のない緊急対応費や祝日対応費を請求された
2:料金について十分説明がないまま作業され、高額請求をされた
3:業者から「費用は損害保険会社に請求できる」と言われ契約したがそれは虚偽の情報で、請求が認められなかった
4:作業内容(原因診断)が不適切で、車が直らなかった
中には業者が「支払いをしなければ、勤め先や親に言う」「提示した金額を支払いするまで帰らない」などと顧客を脅す極めて悪質なケースもあるようです。
相談者は自動車のトラブルに慣れていない20代や学生が多く、慌ててインターネット検索を行って表示された業者に依頼してしまうケースが多いようです。
こういった悪質なロードサービスは「日常のトラブルを安価で解決する」と宣伝しながら、実際は高額請求を行う「レスキュー商法」のひとつです。レスキュー商法の例としてはトイレ修理・水漏れなどの修理トラブルが多く、鍵の開錠や害虫駆除といった分野でもトラブルが増えているようです。いずれも「緊急事態に直面してパニック状態になった消費者の心理を利用し、顧客を募る」という手口を使っています。
ロードサービス利用時の注意点
悪質業者にだまされないために注意したいポイントを3つお伝えします。
1:まずは契約中の損害保険会社・保険代理店へ相談
予期せぬ事故や故障が起こると気が動転しがちですが、落ち着いてまずは今契約中の保険会社、保険代理店、ロードサービス会社へ連絡しましょう。任意の自動車保険にはロードサービスが付帯されている場合がほとんどです。代理店や保険会社では保険契約内容が確認でき、必要なアドバイスやロードサービスの手配を受けることができます。また、有料にはなりますがロードサービス最大手JAF(日本自動車連盟)のロードサービスは非会員でも利用できます。
いざという時にすぐに連絡ができるよう、電話番号が分かるものを車に入れておいたり、携帯電話に電話番号を登録することをお勧めします。
上記に相談が難しい場合には、近くのディーラーを頼る方法もあります。
2:ネット検索上位だから信頼できるとは限らない
消費者庁によると悪質業者のサイトは検索結果の上位に表示されることが確認されていますが、これは業者が広告料を支払って上位に表示させているリスティング広告の場合が多く、必ずしも信頼性の高いサイトというわけではありません。ネット検索の上位に表示されているという理由で安易に信頼せず、サイトに表示されている料金が不自然ではないかなど内容を吟味して利用を検討しましょう。
3:具体的な作業内容を確認し、見積りを取る
作業内容や料金の説明が十分されないまま作業を実施されないためにも、まずは作業前に具体的な作業内容と料金を確認する必要があります。過大で高額な請求をされないためにも見積りは必ず依頼し、キャンセル料なども確認しましょう。万が一、請求金額や作業内容に納得がいかない場合にはきちんとした説明を求め、その場で支払いを強要する雰囲気がある場合は警察を呼んで対応するのもひとつの手です。
最後に
悪徳業者に繋がらないためには事故・故障対応の正しい知識が求められます。急なトラブルが起こると慌てて頭が真っ白になりがちですが、そんな時ほど冷静な対応が必要です。気が動転しやすい方は対応方法を紙にまとめて車に載せておくなど、事前の備えをお勧めします。
また、万が一悪質業者にお金を支払ってしまった場合でも、広告やウェブサイト上の記載金額と実際の請求額が大きく異なる場合には、クーリング・オフできる可能性があります。ロードサービスは訪問販売に該当し、「契約書面を受け取った日から8日以内」がクーリング・オフ適用期間になります。相談は消費者ホットライン(188)や近くの消費生活センターで受け付けていますので、泣き寝入りせず相談しましょう。
車に乗っている限り、事故や故障が起こるリスクからは逃れられません。発生時にすぐ対応できるよう、今一度緊急時の対応方法を確認しておきましょう。