コロナ禍で新しい生活様式や営業スタイルが求められるようになった近年、移動に関しても効率・安全を目的に新しい付加価値サービスや技術が求められています。なかでも、特に注目度が高まっているのが「テレマティクス」です。
テレマティクスは、自動車をはじめとした移動体に通信システムを搭載し、あらゆる情報サービスを提供する技術の総称です。管理業務の効率化や安全運転の促進を目的に、企業の車両管理にも活用されています。
今回は、テレマティクスの概要・仕組みから、車両管理にテレマティクスを導入するメリット、導入時の注意点、さらにテレマティクスの活用例まで詳しく紹介します。
1. テレマティクスとは?

テレマティクスとは、「電気通信(Telecommunication/テレコミュニケーション)」と「情報処理(Informatics/インフォマティクス)」を組み合わせた造語で、主に自動車などの移動体に通信システムを搭載し、さまざまな情報サービスを提供する技術を指します。
従来の車両は、単独で機能する機械としての側面が中心でした。しかし、テレマティクスの登場により、インターネットを介して外部と接続し、リアルタイムに情報をやり取りできる「コネクティッドカー」へと進化しました。
テレマティクスの代表的な活用例としては、カーナビがリアルタイムの渋滞情報や天候情報を反映したルート案内を行う仕組みや、車両の位置情報や走行状況を遠隔で把握する車両管理システムなどが挙げられます。
モノがネットワークにつながる「IoT」の一種となるテレマティクスは、企業における車両管理の効率化や安全運転の促進、燃費改善などに寄与することから、物流業界や営業車を保有する企業を中心に広く導入が進んでいます。
1-1. テレマティクスの仕組み
テレマティクスは、「データの取得・送信・分析・活用」という一連の流れで成り立っています。
具体的には、車載器やスマートフォンなどの端末が、GPSによる位置情報や走行速度、急加速・急ブレーキといった運転挙動のデータを取得し、通信回線を通じてクラウドサーバへ送信します。
さらに、車両に搭載されたECU(電子制御ユニット)やOBD(車載式故障診断装置)から、故障情報や走行距離などの詳細データを取得することも可能です。
各種データはクラウド上で蓄積・分析され、管理者は専用のシステムを通じて車両の状態や運行状況を把握します。分析結果をもとに運転指導や業務改善を行い、その結果が再びデータとして蓄積されることで、継続的な改善サイクルが生まれる点が特徴です。
1-2. その歴史・普及した背景
テレマティクスの起源は、電話やFAXといった通信技術にまでさかのぼります。
音声や文字情報を遠隔で送受信する仕組みが発展し、インターネットやメールの普及によって通信技術は大きく進化しました。自動車分野においては、1980年代にカーナビゲーションシステムが登場したことが大きな転機とされています。
当初は位置情報の精度に課題がありましたが、1990年代にGPS技術が実用化されたことで、より正確な位置把握が可能となりました。さらに近年では、スマートフォンの普及や通信インフラの高度化により、常時インターネット接続が可能な環境が整っています。
これにより、リアルタイムでの情報取得や遠隔管理が一般化し、テレマティクスは企業の業務効率化や安全対策の手段として急速に普及しました。
1-3. ドライブレコーダーとの違い
テレマティクスと混同されやすい技術として「ドライブレコーダー」がありますが、両者で役割や仕組みは大きく異なります。
ドライブレコーダーは、車内に設置したカメラによって走行中の映像を記録し、事故時の状況把握や証拠保全を目的とする機器です。一方、テレマティクスは通信機能を活用し、車両の位置情報や走行データをリアルタイムで収集・管理するシステムです。
つまり、ドライブレコーダーが「記録」に特化した装置であるのに対し、テレマティクスは「情報の収集・分析・活用」を通じて車両全体の管理や運用改善を行う点に違いがあります。
なお、近年では通信機能を備えたドライブレコーダーも登場しており、両者の機能を組み合わせた製品も増えています。
2. 車両管理にテレマティクスを導入するメリット
車両管理にテレマティクスを活用することで、車両の稼働状況や運転データをリアルタイムで把握できるようになります。従来は把握しづらかった情報の可視化が可能となれば、管理業務の効率化や安全性に対するさまざまなメリットも期待できるでしょう。
ここからは、車両管理にテレマティクスを導入するメリットを4つ紹介します。
2-1. 社用車のオンライン管理ができる

テレマティクスを導入すると、社用車の稼働状況、時間経過とリンクした位置情報、運転者情報などがインターネットに接続した端末上で一元管理できるようになります。
これにより、車両位置や動向がリアルタイムで確認できるだけでなく、走行距離や走行時間、速度などさまざまな情報をスムーズに把握することが可能です。
加えて、各種データを管理・活用することで「目的地までの所用時間」や「このドライバーは長距離運転になりそう」など確認すべき情報も瞬時に分かります。
また、リアルタイム情報以外では、運転者情報の管理をすることで免許証の期限切れも確認できます。車両管理のうっかりミスを防ぐことができ、運用効率を維持する効果も期待できるでしょう。
2-2. 業務効率化・働き方改革に役立つ

テレマティクスを導入すれば、車両の運行状況をリアルタイムで把握できるようになります。これにより、最適なルート選定や配車の見直しが可能となり、移動時間の短縮や無駄な稼働の削減など、全体的な業務効率化につながります。
また、テレマティクスサービスでは、直行直帰の勤怠管理及び労務管理もオンラインで行うことが可能です。従業員が出社する必要がなくなり、柔軟な働き方の実現や管理者の負担軽減にも寄与するでしょう。
加えて、道路交通法で記入義務のある運転日報も自動作成できるため、入力ミスや勘違いがなく確認作業も簡略化できます。そのため、安全運転管理者の業務負荷も軽減されます。
2-3. 事故防止や法令遵守につながる

業務車両が危険な運転をしていると、事故リスクが高まるだけでなく、周囲の人や顧客へネガティブな印象を与えるおそれもあります。
テレマティクスでは、急加速・急減速・急ハンドルといった危険運転を検知してアラート通知することで、事故防止につなげることができます。
また、違反や危険運転を繰り返す従業員の洗い出しもテレマティクスがあれば容易です。1日の運転状況をデータとして抽出できるため、ドライバーごとの運転傾向に応じた具体的な指導を行いやすくなります。
2-4. コストの適正化につながる

テレマティクスを導入し、車両の走行ルートやアイドリング時間、エンジンの使用状況などを可視化することで、無駄な運用を見直すことができます。これにより、燃料費の削減や車両の稼働効率の向上が期待できます。
さらに、車両ごとの利用状況を把握することで、余剰車両の見直しや適切な配置が可能となり、保有台数の最適化にもつながります。結果として、車両に関わるコスト全体の適正化を図ることが可能です。
3. テレマティクス導入の注意点

テレマティクスには多くのメリットがある一方、導入の際にはいくつかデメリットとも言える注意点があることにも留意しておきましょう。
ここでは、車両管理にテレマティクスを導入するデメリットを3つ紹介します。
3-1. 導入コストがかかる
テレマティクスの導入には、デバイス購入費や通信料、システム利用料、機器の取付工賃などを含めた初期費用に加え、サービス利用の月額利用料が発生します。そのため、決して「安い」とは言えないコストがかかります。
導入コストはサービス内容や機能によって異なりますが、一般的には機器導入費用や通信費・基本運用料など合わせて1台あたり数千~数万円程度かかります。当然ながら、保有車両が多い企業ほど、全体のコスト負担も大きくなります。
近年では、後付け可能な低価格デバイスやリース・レンタル車両向けのサービスも増えているため、自社の規模や運用方法などに適したサービスをしっかり比較検討してみると良いでしょう。
3-2. 従業員が抵抗を感じる可能性がある
テレマティクスは、車両管理者にとって車両管理が楽になる利便性の高いサービスですが、運転手にとっては「常に行動を監視されている」という感覚に陥り、不満や反発の声が上がることも少なくありません。
そのため、テレマティクスで取得する情報の内容や利用目的、活用についてのルールを明示し、社内ルールとしてしっかり共有することが重要です。
また、安全運転の促進や業務負担の軽減など、テレマティクス導入によって従業員側にもメリットがあることを丁寧に説明し、納得感を得たうえで運用することが求められます。
3-3. 個人情報漏洩のリスクがある
テレマティクスでは、車両の位置情報や運行履歴といったデータを扱うため、個人情報の管理に関するリスクにも注意が必要です。
例えば、直行直帰で社用車を自宅に持ち帰った場合や社用車通勤を許可している場合、車両位置情報が取得できることにより、運転手のプライバシーに関する情報が取得できてしまう場合があります。
従業員の安全を守るためとはいえ、業務時間外の車両情報取得・管理はプライバシー侵害に該当することも考えられます。
したがって、テレマティクスの導入時には、データの取得範囲や利用目的を明確に定めるとともに、アクセス権限の管理や情報セキュリティ対策を徹底することが不可欠です。適切なルール整備と運用体制の構築が、安心して活用するための前提となります。
4. テレマティクスを活用した「車両管理システム」とは

テレマティクスを活用した代表的なサービスの1つが「車両管理システム」です。
車両管理システムとは、車両に搭載したデバイスから取得した位置情報や走行データを一元的に管理し、管理者がリアルタイムで運行状況を把握できるシステムを指します。
車両管理システムに備わった主な機能としては、下記が挙げられます。
- 車両の現在地
- 走行履歴の可視化
- 運転日報の自動作成
- 急加速・急ブレーキなどの危険運転の検知 など
これらの機能によって、業務効率の向上や安全運転の促進、車両コストの最適化といった効果が期待できます。
キムラユニティーでは、インターネット経由で簡単に利用できるクラウド型車両管理システム「KIBACO」を提供しております。車両管理システムの導入を検討している方は、ぜひ下記ページから詳細をご確認ください。
(リンク:KIBACO)
5. その他のテレマティクス活用サービス例
テレマティクスは車両管理システム以外にも、さまざまな分野で活用されています。代表的な例として挙げられるのが「自動車保険(テレマティクス保険)」「コネクテッドカー」「カーナビ・ドライブレコーダー」です。
●自動車保険(テレマティクス保険)
走行距離や運転挙動といったデータをもとに保険料を算定する保険サービスです。安全運転を行うほど保険料が抑えられることから、ドライバーの安全意識向上につながります。
●コネクテッドカー
インターネットに常時接続された自動車のことです。遠隔操作や緊急通報、リアルタイム情報の取得など、利便性と安全性を高める機能を備えています。
●カーナビ・ドライブレコーダー
テレマティクスは、カーナビやドライブレコーダーといった身近な機器にも活用されています。カーナビでは、リアルタイムの交通情報や道路状況を反映したルート案内が可能となり、より正確な到着時刻の把握や効率的な移動に役立ちます。
また、ドライブレコーダーにおいても、通信機能を活用することで危険運転の検知やアラート通知、事故発生時の自動通報などが行えるようになっています。
このように、テレマティクスは企業の安全管理から日常の運転まで幅広く活用されています。
6. 適切な車両管理にはアウトソーシングもおすすめ

テレマティクスの導入により車両管理の効率化は進みますが、運用や管理業務の負担が完全になくなるわけではありません。より効率的かつ安定した管理体制を構築するには、アウトソーシングの活用も有効な選択肢です。
車両管理のアウトソーシング(BPO)では、車両の手配や維持管理、各種手続き、運用管理などを専門業者に委託できます。担当者の業務負担を軽減できるだけでなく、管理品質の向上やコンプライアンス強化にもつながるでしょう。
キムラユニティーでは、車両管理システム「KIBACO」だけでなく、車両管理のアウトソーシングサービス「車両管理BPO」も提供しております。車両管理業務をプロに任せたいと考えている方は、ぜひ下記ページも併せてご覧ください。
(リンク:キムラユニティー 車両管理BPO)
まとめ
エコドライブや働き方改革、スマートモビリティなど、現代モビリティ社会の中でテレマティクスサービスは欠かせないものになりつつあります。
多機能なサービスだけに導入メリットとデメリットを踏まえた上で、自社の環境にマッチした導入するサービスや機器やデータ活用方法を決定していくことが大切です。
キムラユニティーでは、車両管理業務の効率化や従業員の負担軽減に役立つサービスを幅広く提供しております。代理店としてテレマティクスの案内も可能なため、日々の車両管理業務を楽にしたいとお考えの企業担当者様は、お問い合わせフォームよりぜひお気軽にご相談ください。

