スマートフォンで車の鍵が開く?デジタルキーとは

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 自動車業界は「100年に一度の大変革の時代」と言われ、近年自動運転や自動緊急通報等の機能が付いたコネクティッドカーやカーシェアリングなどが登場し、モビリティライフスタイルが急速に変化しつつあります。車は所有するものから利用するものへ。その変革の時期を支えるのが自動車の鍵を安全に使用・共有するデジタルキーの技術です。今回は、デジタルキーとの仕組みからできること、メリット・デメリットなどについてご紹介いたします。

デジタルキーとは

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 従来の物理的な鍵を使わず、スマートフォンなどを活用して車の施錠・解錠を行うシステムです。2016年にトヨタ自動車と東海理化がスマートキーボックスを共同開発し、アメリカや日本で実証実験を行ったのが国内初の事例です。
 デジタルキーを用いると物理的な鍵が不要になり、スマートフォンで施錠や解錠ができます。クラウド上で鍵を管理することで他者によるアクセスを拒否でき、オーナーを識別することができるため、防犯性能も優れています。また、一時的利用できる鍵のため、設定時間が過ぎると鍵の機能を消失させることも可能です。この特性はカーシェアリングなどのサービスに生かすことができ、MaaSやスマートシティを支える重要な要素とも言えます

 デジタルキーを利用するには自動車メーカーのデジタルキーに対応した車種であるか、非対応車の場合には車両工事の実施や専用デバイスを後付けする必要があります。また、スマートフォンには車の操作に必要な専用アプリのインストールが必要です。

デジタルキーの仕組み

 デジタルキーはどのようにしてスマートフォンと車を通信させ、鍵として使うことができるのでしょうか。これには様々な方式があります。3つの方法をご紹介いたします。

1:NFC(近距離無線通信規格)を使う

 NFC(Near Field Communication)とは近距離無線通信規格の一つで、簡単に言うとNFCが搭載された機器同士をかざすことで周辺機器と通信できる技術のことです。身近なものでは交通系ICカード(Suicaなど)で使われています。交通系ICカードは改札にカードをかざすだけで、チャージしたお金が自動的に引き落とされます。また、一部のクレジットカードにもNFCが搭載されており、決済端末にかざすだけで支払いができます。
 このNFCの技術はデジタルキーでも活用されています。例えば、20207月から導入された「BMWデジタルキー」では、iPhoneNFCを使用しています。この仕組みによって、ドアノブにiPhoneを近づけると、施錠・解錠ができます。

 2:Bluetoothを使用する

 Bluetoothは既にご存知の方も多いかもしれません。極超短波である2.4GHz帯域を使い、近距離のデジタルデバイス同士をワイヤレスで接続することができます。スマートフォンに標準的に搭載されており、世界標準規格であるため汎用性も高いです。Bluetoothが使われている身近な例は、ワイヤレスイヤホンが挙げられます。スマートフォンとイヤホンを事前にペアリングすることで、スマートフォンからの音をコードなしでイヤホンから聞くことができます。
 Bluetoothを活用したデジタルキーとしては、社用車管理においてデジタルキー機能を搭載している東海理化のBqey(ビーキー)やトヨタが提供するデジタルキーがあります。

3:インターネットを使う

 インターネットを活用したデジタルキーもあります。Hondaが提供するデジタルキーは一部の車種に対してインターネットを使っているようです。ただしインターネットの場合はスマートフォンが圏外になると使用できないので、注意が必要です。

デジタルキーのメリット・デメリット

 ここまでデジタルキーのメリットを主にお伝えしてきましたが、当然デメリットもあります。以下が主なメリットとデメリットになります。

メリット

●複数人で鍵を共有できる
●いつ誰が鍵を使えるかコントロールできる
●鍵をなくすリスクがない

デメリット

●スマートフォンの電源が切れると使えない
●システムメンテナンスなどで一時的にサービスが停止している場合は使えない
●電波状態によっては正常に動作しない場合がある
●スマートフォンが金属製のものに覆われたり接したりしていると動作しないことがある

デジタルキーでできること

 車のデジタルキーは日常生活でどのように使えるのでしょうか。シチュエーション別にご紹介いたします。

1:個人所有の車

2310_1_2.png 物理的な鍵を持ち歩く必要がなくなるので、鍵を紛失するリスクをなくします。また、スマートフォンはすぐに取り出せる場所にしまっている場合も多いですが、車の鍵の場合いつの間にかカバンの奥の方に...という経験のある方も多いと思います。デジタルキーであれば、毎回車の鍵を探してカバンから出す必要がなくなります。
 また、家族や友人など複数人で出かける場合、鍵の権限を複数人に与えることができます。そのため、出先で一部の人が先に車に戻って休憩したい場合でも、鍵の持ち主が戻っていなくてもスマートフォンを使って車を解錠することができます。ドライブ中のメンバー同士の連絡や待ち合わせの手間が減り、より快適に楽しめるでしょう。

2:社用車

2310_1_3.png デジタルキーの社用車への活用はドライバーと管理部署双方の手間を減らすことができます。従来の社用車の活用には、車の新規導入や紛失時の合鍵作成、スタッフ間の鍵の受け渡し、だれがどの車を使用しているか分からないなどの課題がありました。デジタルキーであれば、まず鍵の紛失リスクを低減できます。また、鍵の作り直しや鍵の受け取りのための事務所立ち寄りの必要もなくなります。さらに、最初に従業員情報を紐づけるので、デジタルキーの権限を持っている人をデータで確認でき、誰がどの車を使用しているかの管理もしやすくなります

3:レンタカー・カーシェア

2310_1_4.png 従来のレンタカー・カーシェアサービスでは、鍵の受け渡しをする際に人手が必要でした。しかし、デジタルキーを利用することで物理的な鍵の受け渡しが不要となるため、人件費削減が実現します。利用者にとっても受付に寄る必要がなくなることは時間短縮になり、大きなメリットです。
 また、物理的な鍵を持たないため、利用者が鍵を紛失するというリスクもなくなります。デジタルキーの導入は、レンタカー・カーシェアサービスにおいて重要な進化だと言えるでしょう。

最後に

 ここまでデジタルキーについてご紹介してきましたが、企業で車両管理をされる方にとってデジタルキーは便利なシステムで様々な活用方法があります。社用車は企業の責任として管理を行う必要があり、正しい管理をすることが当然のように求められます。システム上での車両管理にデジタルキー機能を掛け合わせた社用車管理システムである「Bqey(ビーキー)」は、車を使うドライバーはもちろん車両管理者の業務負担を軽減する機能が充実しています
 弊社でもBqeyの取り扱いがございます。弊社でご契約いただきますと、契約・管理・運用を弊社にお任せいただける車両管理の一本化や、取得した実績データを活用した車両管理のご提案なども可能です。ぜひお気軽にご相談ください。

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