「車検ステッカー」の位置変更!違反すると「50万円以下の罰金」の可能性も?

 車検に合格した後に交付される車検ステッカー。車のフロントガラスに貼り付けることが義務付けられていますが、202373日から車検ステッカーの貼り付け位置が変更になったことはご存じでしょうか?この変更には一体どのような狙いがあるのでしょうか。今回は車検ステッカーの役割、改正後の貼り付け位置、またシールを貼らない場合の罰則についてご案内します。

はじめに

2307_2_1.png  日本の公道を走る乗用車は、新車登録後3年、それ以降は2年おきに車検を受けることが義務付けられています。車検ステッカーは正式名称を「検査標章」といい、その名の通り、車検を受けたことを示すステッカーで、表面には車検満了日の年と月が、裏面には車検満了日の年月日が記載されています。

 この度、国土交通省は自動車検査業務等実施要領を一部改正し、車検ステッカーの貼り付け指定位置を従来の「前方から見やすい位置」から、「前方かつ運転手席から見やすい位置」に変更しました。そのため、 202373日以降に車検を受ける車両はこの指定に従ってステッカーを貼る必要があります。

変更点について

 要領が改正されるまでは「ルームミラーの裏側のフロントガラス付近」が主流の貼り付け位置でしたが、今後は運転席側のフロントガラスの端に貼ることになりました。国土交通省はこの変更の目的について、「無車検運行の防止対策」としており、運転手がステッカーの裏に記載されている車検の期限日がより確認しやすい位置となっています。

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 これまで主流だった「ルームミラーの裏側に貼り付け」だと運転席からはルームミラーやドライブレコーダーの陰に隠れてしまい、車検満了日が見えにくく、車検切れを起こしてしまう一因となっていました。今回の変更により、運転する人が車検の時期をより確認しやすくなり、特に公用車や社用車など不特定多数で利用する車の車検切れ防止につながるとされています
 この車検ステッカーの変更に対する意見は賛否両論で、「車検切れに気づきやすくなった」と肯定的に捉える意見もあれば、視野の妨げになる位置にシールが移動したことを批判する意見もあります。実際にSNSでは、「運転手からすれば邪魔だと思う」「なんでこんな場所に?」など、変更に対して疑問を抱くような声も上がっています。

違反者には罰金も?

次に「ステッカーを指定の位置に貼らなかった場合」の罰則に関してご案内します。国土交通省は関連資料の中で以下のように回答しています。

 つまり指定の位置にステッカーを貼らなければならず、違反した場合には50万円以下の罰金を科せられる可能性もあるということです。ただし、無車検や不正改造車の運転のように悪質性の高い違反ではないうえ、ドライブレコーダーやETC機器などの設置状況によってはステッカーの位置が通常とは変わるケースも想定されます。さらに国土交通省は「ステッカーの位置が間違っていても車検を受けることは可能」と話しており、ステッカーの貼付位置について厳しく取り締まりがおこなわれるとは考えにくいといえるようです。
2307_2_3.png また、販売店で車検を受けた場合やクルマを購入した場合は販売店の従業員がステッカーを貼るため正しい位置に貼ってもらえるので心配はありません。しかしユーザー車検の場合や、車検証と一緒に後日車検ステッカーを送付してもらうケースは自分で正しい位置に貼る必要があるので注意が必要です。なお、202373日以前に車検を受けていて、すでに車検ステッカーを貼っている場合は、この改正のためにわざわざあらためて車検ステッカーの位置を変える必要はありません。

最後に

 これまで車検シールの貼り付け位置は「前方から見やすい位置」とされていましたが今回の改正により、「前方かつ運転手席から見やすい位置」へと表示位置が変更となりました。ドライバーの目に入りやすい位置にすることで、車検への意識を高め、無車検走行を防ぐ目的があります。ポイントとしては「運転手席側の上部で、できるだけ車の中心から離れた位置」に車検ステッカーを貼ることです。つまり、運転手席から見てフロントガラスの右上(左ハンドル車は左上)がベストな貼り付け位置といえるでしょう。また運転手の視野を妨げる場合には、視野を妨げない場所にずらすのは問題ありませんが、道路運送車両法によって基準はしっかりと定められており、位置の調整には限度があるということを知っておく必要があります。

参考資料

ステッカーの貼り付け位置が変更になります(国土交通省)

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