電気自動車のメリット・デメリットは?

 世界的に環境に優しい「電気自動車」へシフトする流れが起こりつつある中、日本でも少しずつ電気自動車の種類が増え始めてきました。世界と比べて日本での普及率はまだ低いですが、販売台数は右肩上がりで販売比率は伸び始めています。そこで今回は、電気自動車の仕組みやメリット・デメリット、選ぶ際の注意点などについて紹介したいと思います。

電気自動車(EV)とは

2306_1_1.jpg 電気自動車(EVElectric Vehicle)は、その名の通り電気で走行する自動車の事で、搭載されているバッテリーに貯まった電気で車を走行させる点が大きな特徴です。専用の充電装置を使い、バッテリーに貯まった電気でモーターを動かすことで車輪が回転します。そのため、電気自動車に搭載されているのはバッテリーとモーターで、エンジンは搭載されていません
 地球温暖化をはじめとする環境問題が叫ばれるなか、電気自動車は地球温暖化の解決に大きく貢献すると期待されています

電気自動車のメリット・デメリット

 電気自動車がガソリン車より優れている面はいくつかあります。ここでは電気自動車のメリットとデメリットをいくつかご紹介したいと思います。

メリット

メリット1:走行時にCo2を排出しない

2306_1_2.png エンジン車はガソリンや軽油を燃焼させるため、必然的にCo2を発生させます。電気自動車はバッテリーに貯められた電気でモーターを動かしてタイヤを駆動させるため走行時にCo2を発生させません。そのため電気自動車は「環境負荷の低減に貢献する」と言われています。

メリット2:経済性に優れている

2306_1_3.png 最近は電力価格もガソリン価格も共に高い傾向にあります。しかし、車両のエネルギーとして走行距離に換算すると、電力はガソリンよりも安くつきます。環境省では、年間5,000km走行する場合は22,500円、10,000km走行する場合は45,000円節約できると試算しています。
参考:https://www.env.go.jp/air/zero_carbon_drive/

メリット3:静かで振動も少ない

2306_1_4.png 電気自動車はエンジンではなくモーターで動きます。エンジン特有の「ブルルン」という音や振動はなく、モーターが回る微かな音のみで振動はほとんどありません。電気自動車やハイブリッド車の電力走行時は、とても静かなので歩行者などが気づきにくい場所もあるほどです。また、EVはモーターにより走行するため、ガソリンの燃焼によりエンジンを回転させ走行するガソリン車と比較してアクセルを踏んでから加速までの遅れがなく、なめらかで力強い発進も特徴のひとつです

メリット4:蓄電池として活用できる

2306_1_5.png 搭載しているバッテリーは大容量のため、EVから家庭へ電力供給する設備を設置していれば、災害・停電時に蓄電池として役立ちます。停電しても2~4日の家庭電力をEVから賄えると言われています。

メリット5:様々な優遇措置がある

2306_1_6.png 電気自動車やプラグインハイブリッドなどの購入時には、国からの補助金が受けられます。さらに自動車税や重量税などに減税が適用されます。また、環境庁は脱炭素化推進の一環として、20214月より10の国立公園と2つの国民公園の有料駐車場でEVFCVの駐車料金を無料化しました。

デメリット

デメリット1:充電に時間がかかる

2306_1_8.png ガソリンスタンドで満タンにするには3分もかかりませんが、電気自動車の充電には時間が必要です。自宅の充電設備(100Vまたは200V)でフル充電するには、7時間から15時間程度必要です。急速充電の場合は80%の状態まで充電するのに20分~30分ほどで済みますが、それでも給油と比べれば時間がかかると言えます。

デメリット2:充電スポットがまだまだ少ない

2306_1_7.png 急速充電スポットの数は拡大しつつありますがガソリンスタンドの数に比べるとまだまだ少ないのが現状ですEVを販売するディーラーでは他社製のEVにも充電スポットを開放していますが「その会社の車でないのに充電するのは気が引ける」という日本人特有の声もあります。また、時間がかかるうえに充電スポットが少ないため、充電するために順番待ちの列ができることもあります。目的地への到着時間が遅れるといった影響が出る可能性があります。

デメリット3:バッテリーに寿命がある

2306_1_9.png ガソリン車やHVの寿命が平均的に走行距離10km10年と言われているのに対して、EVのバッテリー保証期間は8年ほどです。保証期間が過ぎても乗り続けられますが、使用回数によって劣化し、走行距離が短くなったり同じ時間でも充電される量が少なくなるなどの現象が起こります。多くの場合、保証期間を過ぎたころからバッテリー劣化を感じるようになると言われています。バッテリー交換は可能ですが、数十万円の費用が掛かります

デメリット4:価格が高額

2306_1_10.png 駆動用バッテリーとして使用しているリチウムイオン電池は製造コストが高いため、ガソリン車に比べて本体価格が高くなります。国や自治体による補助金もあり、電気自動車の需要は増えつつありますが価格が下がるまでにはまだ時間がかかると言われています

電気自動車の適切な選び方と注意点

 電気自動車と一口に言っても、車種によって個性や性能は様々です。数ある電気自動車の中から最適なものを選ぶポイントを押さえておきましょう。

ポイント1:自宅に充電設備を設置できるか

2306_1_11.png まず確認したいのは、自宅に充電設備が整えられるかどうかです。戸建てであれば配線ルートや設置場所を確認し、壁付けやスタンド型など駐車スペースに合ったものを選ぶ必要があります。マンションや賃貸に住んでいる場合には許可を取れば駐車スペースに充電器を設置できる場合もありますが、あまり現実的ではないかもしれません。自宅に充電設備を設けない場合は、充電カードを購入してディーラーや商業施設に設置されている充電スポットを利用する方法があります。

 ポイント2:航続距離をチェック

2306_1_12.png 毎日の通勤距離が長い・レジャーで長距離移動が多い場合は航続距離が長い車種を選ぶと、充電の回数を減らすことができます。街乗りや送迎中心で使う場合は200~300km程度の車種でも大丈夫でしょう。ただし航続距離が長い車種はバッテリー容量が大きくなり、車両価格が高額になる傾向があるので予算と相談して検討しましょう。
 航続距離やドライブ途中での充電スポット探しに不安を感じる場合には、プラグインハイブリッドタイプを選ぶのも選択肢の一つです。プラグインハイブリッドであれば、充電がなくなってもガソリンで走行できるため、充電切れを心配せずに済みます

ポイント3:保証やメンテナンス面をチェック

2306_1_13.png 駆動用バッテリーは利用する期間が長くなると劣化し、全体の70%程度しか充電できなくなると交換が必要と言われています。しかし購入して間もないにも関わらず充電性能が落ちるケースもないとは言い切れず、駆動用バッテリーは価格が高額なので保証期間の確認は必須です
 また、メンテナンスの受けやすさも重要です。海外メーカーの電気自動車を購入する場合、メンテナンスしてもらえる販売店が少ない、修理が必要になった際部品の取り寄せに時間がかかる可能性も考えられます。国産電気自動車でも、一般の整備工場では対応できないこともあるので、何か問題が発生した時近くに頼れる店舗があるかを確認することも重要です

最後に

 様々なエネルギーの車両や電動キックボードなど、次世代モビリティ開発や導入が盛んに行われているなか、電気自動車も次世代の車社会を担う注目のエコカーのひとつです。電気自動車の購入を検討されている方は、メリットとデメリット、現在の環境や利用目的などを踏まえ、購入前にしっかりと検討していきましょう