花粉症が運転に与える影響について

 花粉症にも交通事故を引き起こす要因があるということをご存知でしょうか?花粉症の症状には「鼻がムズムズする」「くしゃみが出る」「目の痒み」などがあります。日常生活においても支障をきたすのですから当然、運転にも多大な影響を及ぼします。今回のコラムでは花粉症が運転に及ぼす危険性や交通事故の例、その対処法についてご紹介いたします。

花粉症の影響で運転中に起こりうる危険

 花粉症は運転中であってもお構いなしに襲ってきます。適切な判断と集中力を要する車の運転には好ましくない状態を生み出します。花粉症の影響で発生しやすい典型的な危険の例は以下の通りです。

1:視野の低下

2203_1_1.png 花粉による目の痒み、かすみ、涙目によって視界が確保できず、注意力が散漫になりがちです。飛び出しや障害物を避ける際に判断が遅れる可能性があり、信号無視をしてしまったり、特定の場所で一時停止を見落としてしまう等、交通ルールを正しく守ることがしづらくなります

2:突発的な交通事故

2203_1_2.png 普段でもくしゃみや咳が突発的に出ることはありますが、花粉症のくしゃみは立て続けに、しかもそれが頻繁に起こります。その際にハンドル操作を誤ってしまうと路外に逸脱し、壁やガードレールに衝突してしまう危険性があります。また、くしゃみをした勢いで不要なところでアクセルを踏んでしまい、前の車に追突したり、誤ってブレーキを踏んだところで後ろの車に追突されるなどの事故発生の可能性も高まります。

3:集中力の低下

2203_1_3.png 花粉症の症状を緩和するための薬には眠気をもよおすものもあり、集中力だけでなく判断力や認知力の低下を招く恐れもあります。花粉症を持つバスやトラック、タクシーといった職業ドライバーへの調査によると半数以上の人が「花粉症の薬を服用すると、眠気やだるさを感じる」と回答。また、その状態であっても9割の人が「仕事に従事する」と答えています。薬の服用には細心の注意が必要です

花粉症ドライバーが運転する際の対処法

 次に、対処法についてご案内します。花粉症の症状が出ていても、お仕事で毎日車の運転をしなければならない時があるかと思います。その際には「車内になるべく花粉が入らないようにすること」が肝心となります。

1:乗る前に花粉を払う

2203_1_4.png これは室内へ入るときも同じですが、外で付着した花粉は車内に持ち込まないようにします。衣類、バッグ、靴に多く付きやすいので念入りに払ってから車に乗るようにしましょう。もちろん運転手本人だけではなく、同乗者も同様の対応が必要となります

2:エアコンは内気循環モードで

2203_1_5.png 外気を取り入れてしまうと花粉も一緒に車の中に取り込んでしまうため、エアコンを使用するときは必ず内気循環モードで行います。花粉の取り込みを少しでも軽減するため、停止時や走行時に限らずなるべく窓も開けないようにする必要があります。

3:こまめに掃除を

2004_2_1.jpg 完全に花粉を除去することは不可能ですが、ハンドルや窓、ダッシュボードをウェットシートで花粉を拭き取ることができます。またシートは粘着クリーナー(コロコロ)を活用して掃除することで細かい場所まで入り込んだ花粉を取り除くことができます。

4:眼鏡+マスクは注意

2203_1_6.png マスクは花粉予防として最適ですが、眼鏡を掛けていると息で曇ってしまいます。視界の悪化に繋がるので車内で眼鏡を掛けてマスクをするときは、眼鏡に曇り止めを施してください。最近では拭くだけで曇りを予防するクロスやクリーナーが市販されています。また、息漏れを防いで眼鏡を曇りにくくするマスクも売られているので活用してみましょう。

5:花粉除け

2203_1_7.png 花粉は静電気があるところに集まります。衣類に柔軟剤を使用して静電気を抑えることで花粉症の付着を抑えることができます。また、静電気を発生させないようにするスプレーもあるので、適宜利用して花粉の付着を抑えましょう。

最後に

 花粉症は花粉が体内に侵入したことによって生まれる「IgE抗体」が、ある一定の水準値を超えると発症します。つまり、まだ花粉症になっていない方でも、いつでも誰にでも発症する可能性があります。花粉症の症状が出ると運転に悪影響が出るため、花粉の季節はいつも以上に安全運転を心がけることが必要です。また薬に頼るだけではなく車内や体内に花粉を極力取り入れないよう普段から対策を習慣づけることも大切です。