もうすぐ夏本番!やっておきたい車の点検

 7月も半ばを過ぎ、いよいよ夏本番です。最近では最高気温が40度近くまで上がる地域もあり、かなり過酷な夏になっています。そして皆さんが暑さで体調を崩すように、車にも夏に起こりやすいトラブルがあります。そこで今回は、夏に起きやすいトラブルとそれを防ぐ点検についてお話したいと思います。

夏に起こりやすい車のトラブル

夏によく起こるトラブルは様々ありますが、ここでは主なものを4つ紹介します。

1:エアコントラブル

2107_1_1.jpg 暑い夏に欠かせないエアコンは、夏の車トラブルの定番です。エアコンの効きが悪い、エアコンをつけた時に嫌なニオイがする、エアコンを付けると異音がする......症状も様々だからこそ、素人が原因を絞り込むことは難しいものです。例年酷暑が続き車内での熱中症リスクも高まるなか、エアコンは夏の運転に欠かせません。しっかりとメンテナンスをして、快適に使えるようにしておきたいです。

2:バッテリートラブル

2107_1_2.jpg 車には、エンジンを回転させる→発電機を動かす→電気をバッテリーへ蓄電→電装品へ電力供給というサイクルがあります。車の消費電力がバッテリーの発電容量を上回るとバッテリーに負荷がかかり、バッテリーが上がってしまいます。夏は消費電力の高いエアコンを使う頻度が上がることで、バッテリーが上がりやすい季節です。さらにバッテリーが弱っているとその危険が高まります。

3:冷却水のトラブル

2107_1_3.jpg 冷却水の役割はエンジンなど車の内部を冷やすことです。夏は車内部から発する熱だけでなく外気温自体が高いため、冷却水の水温も高くなりやすいです。そのため、冷却が追い付かなくなりオーバーヒートが発生しやすくなります。オーバーヒートは最悪の場合エンジン自体が故障してしまう危険があるので、注意が必要です。

4:タイヤのトラブル

2107_1_4.jpg 夏のタイヤトラブルで一番注意したいのはタイヤが破裂するバーストです。真夏のアスファルトは日中表面温度が60℃を越えるとも言われています。そしてゴムでできているタイヤは熱や紫外線によって劣化します。劣化したタイヤで熱くなった高速道路の路面を走行していると、バーストの危険性が高まります。

すぐにできる!夏の愛車点検

 トラブルに巻き込まれないためにも、日常できる点検を実施するようにしましょう。ここでは自分でできる簡単なものを中心に紹介いたします。

エアコン

2008_1_1.jpg エアコンが効かなくなる原因は複雑なため、自分でできるメンテナンスはかなり限られてきます。最初に実施したいのは、エアコンフィルターの交換です。エアコンから送風されない、冷房設定しているのに冷風が出ない場合はフィルターの目詰まりが考えられます。また、エアコンフィルターの汚れはエアコンから出る嫌なニオイの原因にもなります。1年または15,000km走行毎の定期的な交換がオススメです
 次にエバポレーターの掃除です。エバポレーターとは取り込んだ空気を冷やす、エアコンで重要な部分の一つです。エバポレーターの汚れを放置するとカビや悪臭の原因となります。こちらはカー用品店で販売している専用のクリーナーで掃除をすることができます。
 その他にコンデンサーやコンプレッサーの故障などの原因があります。エアコンをかけたら異音がするなどの異常を感じたら、ディーラーや整備工場で整備士に相談しましょう

バッテリー

2107_1_5.jpg バッテリーが弱っていないか確認しましょう。バッテリーが消耗してくると、端子回りに粉が付く、バッテリーが膨らむ、バッテリー液の漏れや減りといった症状が現れます。このような症状が出たら、バッテリーを交換しましょう。バッテリー交換の目安は2~5年と言われていますが、車の使用状況によっても変わってきます。送迎や買い物中心の短距離走行はバッテリーの寿命が短くなる可能性が高いです。
 最近のバッテリーにはインジケーターが付いていて、簡単にバッテリーの状態が確認できるようになっています。異常を示していたら、必ずプロによる点検を受けましょう。

冷却水(クーラント)

 冷却水の温度と量がポイントです。車のメーターパネルにある水温計を確かめましょう。水温計を確認して、H付近に針が触れていたら異常のサイン。Hを越えてランプが点滅し始めるとさらに危険な状態です。運転を停止して、ボンネットを開けてエンジンルームの風通しをよくしましょう。
2107_1_6.jpg 冷却水の量はエンジンルーム内にある、リザーバータンクで確認できます。側面に「MAX」「MIN」、または「FULL」「LOW」の表示があるので、液面が「MAX」と「MIN」の間にあることを確かめてください。もし「MIN」のラインより低い場合は、冷却水を補充してください。量と併せて色も確認しましょう。通常透明感のある赤・青・緑の場合が多いですが、濁りや赤茶色に変色している場合は交換が必要です。
 冷却水の量は必ず走行前に確認しましょう。走行後ですとエンジンルーム内が熱くなっていて危険です。

タイヤ

2107_1_7.jpg まずは車に乗る前に外観を確かめましょう。タイヤの溝が十分あるか、ヒビが入っていないか、釘などの異物が刺さっていないかを確認します。タイヤの溝が減っているとスリップしやすくなったりハンドル操作やブレーキの効きが悪くなります。
 タイヤの状態を確かめ終えたら、空気圧を確認してください。空気圧が低いタイヤで高速道路を走行すると、タイヤの表面が波打つ「スタンディングウェーブ現象」が発生し、タイヤが熱を持ちます。この熱でタイヤの形状を保つためのカーカスと呼ばれる補強材が破損することにより、バーストが起こります。定期的にタイヤゲージやガソリンスタンド、整備工場でチェックするようにしましょう。
 タイヤの空気圧は、タイヤの種類やサイズが同じでも車によって適切な空気圧は異なります。最適な空気圧は各メーカーが「車両指定空気圧」として決めています。車両指定空気圧は運転席ドア開口部などに記載されています。

夏に気を付けたい車の使い方

2107_1_8.jpg ここまで車の故障に繋がる点検についてお話しましたが、夏は車の使い方にも注意が必要です。よく発生しているのが、室内が高温になることで起こるトラブルです。先ほど夏場のアスファルト路面が60℃以上になることをお話しましたが、停車中の車内も高温になります
 夏場、駐車場に停めておいた車へ戻ったらハンドルが熱くて持てないという経験は皆さん経験があると思います。JAFの調査によると8月の晴天で外気温35℃の条件で12時~16時の間車内温度を測定したところ、エンジンを停止させて30分後には車内温度は約45℃まで上昇し、15時頃には55℃を越えてしまったそうです。このような場所に熱に弱いプラスチック製品や電子機器などを置いたままにしておくと、変形や故障に繋がります。さらにスプレー缶、ライターといった可燃性のものは、破裂や引火を引き起こす危険性があります。車から降りる際はこれらのものが残っていないか充分に確かめるようにしましょう。
 また、エアコンをかける際はいきなり冷房を使うのではなく、窓を全開にして走行後エアコンを外気導入+風速を強めて1分程度かけ、窓を閉めて内気循環へ切り替える事でバッテリーへの負担を減らすことができます。

最後に

 車にとってもこの夏の暑さは大敵です。日頃からの適切な点検・メンテナンスを行うことで、トラブルを未然に防ぐことができます。運転していて車の状態の変化に気づいた場合は、整備工場などへ相談をしてみましょう。
 安全運転管理者の方は、保有車両の点検スケジュール管理を確実に行いましょう。また、ドライバーにも乗車前点検を促し、トラブルを防止できるようにしましょう。