飲酒運転による重大事故の問題点を考える

 2021年6月千葉県八街市で下校中の小学生の列に大型トラックが突っ込み、5人が死傷した事故が発生しました。トラック運転手の呼気からは基準値を超えるアルコールが検出され、警察は飲酒運転の実態解明を進めています。この悲惨な事故は皆様の記憶に新しい事故ではないでしょうか。そこで今回は、この事故の原因である飲酒運転について共に考えていきたいと思います。

飲酒運転と事故の現状を知る

 飲酒運転に関する法改正が進んだ結果、年々「飲酒運転」による交通事故は減少傾向にあります。しかし、飲酒運転に絡んだ悲惨な重大事故は撲滅できていないのが現実です。そこで以下では、飲酒運転の現状や事故リスクの実態、罰則などについて紹介します。飲酒運転がいかに重大な違法行為であるかを改めて確認しておきましょう。

◆(飲酒運転の実態)事故件数は2,500件超、うち150件以上が死亡事故

下記のグラフは、警察庁がまとめた原付以上運転者(第1当事者)の「飲酒運転」による交通事故件数と飲酒死亡事故件数の年次推移をあらわしたものです。

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 道路交通法の改正により、飲酒運転に対する罰則が大幅に強化されたことなどが奏功して、飲酒運転による交通事故や飲酒死亡事故は、近年減少傾向にあることがわかります。しかし、直近の2020年の事故件数は2,522件、死亡事故件数は159件となっており、飲酒運転の撲滅、飲酒運転による犠牲者ゼロには道半ばの状況が続いています

飲酒と事故の関係を知る

◆飲酒は脳機能を麻痺させ、運転に必要な能力の低下を招く

2106_2_2.jpg 酒類などのアルコールが含まれた飲食物を摂取すると、個人差はありますが、誰もが酔った状態になります。この酔うというのは、血中のアルコールが脳に運ばれ、脳内の特定の器官が麻痺する状態のことをいいます。その結果、理性や判断力、運動機能といった車を運転するうえで必要な能力が低下し、事故を引き起こす危険性が高まります。


 摂取するアルコールの量が多いほど、運転に必要な能力の低下の度合いは強まる傾向があるのはもちろんですが、科学警察研究所交通安全研究室の「低濃度のアルコールが運転操作等に与える影響に関する調査研究」では、低濃度のアルコールでも認知・判断能力への悪影響が観測されています。「少ししかお酒を飲んでいないから」「ほんの少しの距離を運転するだけだから」といった過信や甘えは決して許される行為ではありません。

飲酒運転する人の心理を知る

飲酒運転をする人には、以下の3つのパターンが働いていると考えられます。

1:取り締まりに遭わず事故さえ起こさなければよいと考える人
2:アルコールが運転に及ぼす影響を甘く見ている人
3:飲酒によって気が大きくなる人 

 皆さんの家族や同僚にこのようなタイプの方はいませんか?①の場合は飲酒運転の危険性が本当は分かっていないと言えます。アルコールが運転に及ぼす影響や交通事故統計、飲酒運転実験の結果などを示し、まずは飲酒運転の危険性を理解させる必要があります
2106_2_3.jpg ②や③の場合は飲酒運転の危険性が分かっていても、「このぐらいなら...」と飲酒運転をしてしまうケースが多いです。飲酒している人の判断は信用できません。タクシーや代行運転サービスなどを使わせる、飲酒していない人に送迎してもらうなど、車を運転できないよう周囲からの働き掛けも必要になります。

飲酒運転事故の罰則を知る

◆「飲酒運転」には重い行政処分と罰則が適用される

 「飲酒運転」は重大な違法行為であり、飲酒運転をした本人には以下のような重い行政処分や罰則が規定されています。「酒酔い運転」とは、アルコールの影響で正常な運転ができない状態で運転すること、「酒気帯び運転」とは、体内に基準値以上のアルコールを保有して運転することを指します。

運転者に対しての罰則

種類状態罰則違反点数
酒酔い運転 アルコールの影響で正常に運転できない恐れがある状態 5年以下の懲役または100万円以下の罰金 35点(免許取り消し、欠格期間3年)
酒気帯び運転 呼気のアルコール濃度0.25mg以上 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 25点(免許取り消し、欠格期間2年)
呼気のアルコール濃度0.15mg以上 13点(免許停止90日間)
他者を死傷させた場合
種類被害者罰則
自動車運転過失致死傷罪 負傷・死亡 7年以下の懲役もしくは禁錮、
または100万円以下の罰金
危険運転致死傷罪 負傷 15年以下の懲役
死亡 1年以上の有期懲役

 また、罰則は飲酒運転をした本人だけでなく、飲酒運転者に車両を提供した人、飲酒運転者にお酒を提供した人や飲酒運転車に同乗した人に対しても適用される場合があります。

運転者以外に対して

周囲の人の立場状態罰則
車両提供者 酒酔い運転 5年以下の懲役または100万円以下の罰金
酒気帯び運転 3年以下の懲役または50万円以下の罰金
酒類提供者・同乗者 酒酔い運転
酒気帯び運転 2年以下の懲役または30万円以下の罰金

最後に

 飲酒運転をなくすためには、ドライバー一人ひとりが「飲酒運転は絶対にしない・させない」「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」という意識を徹底して心に刻むことが重要です。しかし、その意識を個人で続けるより、周りの方同士で声を掛け合うことでさらに強い意識づけができます。そして社内だけでなく、社会全体や各企業が共に事故を起こさない努力をすることでより意識が高まり、飲酒運転をはじめ、悲しい交通事故の減少に繋がるのではないでしょうか。

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