社用車を保有・運用する企業においては、安全運転の徹底や事故防止、法令遵守といった観点から、車両の適切な管理が求められます。そして、こうした管理を属人化させず、組織として統一的に運用するために必要となるのが「車両管理規程」です。
車両管理規程は、社用車の管理をするためだけでなく、交通事故対策といった面でも重要となります。特に近年では、道路交通法の改正により罰則が厳格化されつつあるため、情勢に合致した内容へ見直すことも忘れてはなりません。
そこで今回は、車両管理規程の概要・必要性から、記載すべき主な8つの項目、さらに作成時のポイントまで詳しく解説します。
1. 車両管理規程とは?

車両管理規程とは、企業が業務で使用する車両の利用や管理方法について定めた社内ルールのことです。社用車やリース車両、さらには業務で使用するマイカーも対象となり、使用手続きや安全運転のルール、点検・整備、事故発生時の対応などを明確にします。
車両管理規程としてルールをあらかじめ整備しておくことで、車両運用におけるリスクを抑えつつ、安全性の確保や管理体制の統一につなげることが可能です。
2. 車両管理規程の必要性
車両管理規程は、企業が業務で使用する車両を安全かつ適切に運用するために欠かせないルールです。
従業員の判断に任せたままでは、運転ルールや管理方法にばらつきが生じ、事故や法令違反のリスクが高まります。あらかじめ統一された基準を定めておくことで、安全意識の向上や管理体制の強化につながります。
また、万が一事故が発生した場合でも、日頃から適切な管理や指導を行っていたことを示す根拠となり、企業としてのリスク低減にも寄与します。
このように、車両管理規程は事故防止とリスクマネジメントの両面から重要な役割を果たします。
2-1. 根拠となる法律
車両管理規程の必要性は、主に「民法第715条(使用者責任)」と「道路交通法第74条の3(安全運転管理者の選任)」に基づいています。
民法第715条では、従業員が業務中に起こした事故について、企業が損害賠償責任を負う可能性があると定められています。そのため、日頃から適切な指導や管理体制を整えておくことが重要です。

また、道路交通法第74条の3では、一定台数以上の車両を保有する事業所に対して安全運転管理者の選任が義務付けられており、運転者への指導や安全管理体制の構築が求められています。

民法と道路交通法を踏まえて車両管理規程を整備することで、法令遵守と事故リスクの低減を両立することが可能となります。
3. 車両管理規程に記載すべき項目

車両管理規程には、車両の安全な運用と適切な管理体制を維持するために必要な事項を網羅的に記載することが重要です。具体的には、運転者の管理や車両の点検・整備、事故発生時の対応など、実務に直結するルールを明確にしておく必要があります。
また、車両の利用形態や保有台数、業務内容によって必要となる項目は異なるため、自社の実態に応じて内容を整理することも大切です。規程を形だけで終わらせず、現場で実際に運用できる内容に落とし込むことが、効果的な車両管理につながります。
ここからは、車両管理規程に記載すべき項目を8つ紹介します。
3-1. 安全運転管理者の選任
一定台数以上の車両を使用する事業所では、道路交通法に基づき、安全運転管理者の選任が必要となります。車両管理規程には、安全運転管理者の選任の基準や役割、責任範囲を明確に記載しておくことが重要です。
安全運転管理者は、運転者への安全指導や運行状況の確認、アルコールチェックの実施など、車両の安全運用を担う中心的な存在です。選任後は所轄の公安委員会への届出も必要となるため、手続きや運用フローも含めて規程に整理しておきましょう。
3-2. 車両管理台帳の作成
車両管理規程には、保有または利用している車両を一元管理するための「車両管理台帳」の作成についても定めておく必要があります。車両管理台帳には、車両の基本情報に加え、車検・点検の実施状況や保険の加入状況などを記録します。
各種情報を継続的に更新・管理することで、車検切れや保険未加入といったミスを防ぎ、適切な車両運用が可能になります。
なお、車両管理台帳の効率的な記録・管理を実現するためには、クラウド型の車両管理システム「KIBACO」の活用も有効です。情報の一元管理や更新作業の効率化を図りたい方は、ぜひ一度チェックしてみてはいかがでしょうか。
(リンク:KIBACO)
3-3. 運転者台帳の作成
車両の安全な運用には、運転者に関する情報の管理も欠かせません。そのため、車両管理規程には運転者台帳の作成についても明記しておく必要があります。運転者台帳には、氏名や所属、運転免許証の種類・有効期限、事故歴や違反歴などを記録します。
各種情報を記録することで、無免許運転や免許失効の見落としを防ぐとともに、運転者ごとのリスクを把握しやすくなります。また、運転者の状況を継続的に把握・更新することによって、安全運転の徹底や事故防止につながる体制も構築できるでしょう。
3-4. 車両の点検・整備
業務で使用する車両は、常に安全な状態で運行できるよう、定期的な点検・整備を行う必要があります。車両管理規程には、日常点検・定期点検・車検といった点検区分ごとに、実施内容や担当者を明確にしておきましょう。
特に、運転前の点検項目(タイヤ・ブレーキ・灯火類・オイルなど)を具体的に定めておくことで、整備不良による事故の防止につながります。また、不具合発見時の報告フローや修理対応についても規定し、車両を常に良好な状態に保つ体制を整えることが重要です。
3-5. 事故発生時の対応や費用負担
車両事故が発生した際の対応手順や費用負担についても、あらかじめ明確に定めておく必要があります。運転管理規程には、事故発生時の初動対応として、負傷者の救護や警察・上司への連絡、保険会社への報告などの流れを具体的に記載します。
あわせて、修理費用や保険の免責額、違反に伴う罰金などの負担区分も明文化しておきましょう。事前にルールを整理しておくことで、事故発生時の混乱や責任の不明確さを防ぎ、迅速かつ適切な対応につながります。
3-6. 安全運転の確保
安全運転の確保は、車両管理規程の中でも特に重要な項目です。飲酒運転や無免許運転、速度超過、ながら運転の禁止など、基本的なルールを明確に定め、運転者に遵守を求めます。
さらに、運転前の体調確認や適切な休憩の確保、長時間運転の制限など、事故防止につながる取り組みも盛り込むことが重要です。違反や事故が発生した場合の報告義務や再発防止のための指導体制を整えることで、組織全体の安全意識向上とリスク低減につながります。
3-7. 保険加入について
業務で使用する車両には、万が一の事故に備えて適切な保険への加入が不可欠です。車両管理規程には、自賠責保険に加え、任意保険の加入条件や補償内容について明確に定めておきましょう。
特に、対人・対物賠償の補償範囲や保険期間、付帯条件などを具体的に整理しておくことで、事故発生時の経済的リスクを軽減できます。保険内容の見直しや更新管理を徹底するためにも、基準や運用ルールを規程に盛り込むことが重要です。
(リンク:企業を守る保険代理店)
3-8. マイカーの使用について
業務や通勤に従業員のマイカーを使用する場合は、その利用ルールを明確に定めておく必要があります。
マイカーは私用との区別がつきにくく、事故発生時には企業にも責任が及ぶ可能性があるため、原則禁止とし、やむを得ない場合のみ条件付きで認めるケースが一般的です。
使用を許可する場合は、利用範囲や申請手続き、任意保険の加入条件、車検・点検の実施状況などを規定し、基準を満たさない場合は使用を認めない仕組みを整えます。
あわせて、事故発生時の責任範囲や報告義務も明確にしておくことで、トラブルの防止とリスク低減につながります。
4. 車両管理規程作成のポイント

車両管理規程を作成する際は、単にルールを列挙するだけでなく、実際の運用を見据えた内容にすること、さらになるべく従業員が理解しやすく、実行しやすい形で整理することが重要です。
また、違反時の対応や法令改正への対応など、運用面でのリスクにも配慮しなければなりません。規程の内容が不十分であったり、現状に合っていなかったりすると、かえって管理体制の不備につながるおそれもあります。
そこで次に、車両管理規程を作成するうえで押さえておきたいポイントを2つ紹介します。
4-1. 違反したときの罰則に注意する
車両管理規程には、違反時の対応や罰則についても明確に定めておかなければなりません。ただし、従業員に対して罰金を科すといった対応は、労働基準法により原則認められていない点に注意が必要です。
実務上は、厳重注意や減給、降格といった処分を就業規則とあわせて定めるケースが一般的です。罰則は単なる処罰ではなく、ルール遵守を促すための手段であるため、再発防止のための指導や教育とセットで運用することが重要です。
4-2. 定期的な見直しを行う
車両管理規程は一度作成して終わりではなく、法令改正や社会情勢の変化に応じて定期的に見直す必要があります。特に近年では、アルコールチェックの義務化など、安全管理に関するルールが強化されており、従来の内容のままでは不十分となる可能性があります。
また、実際の運用の中で生じた課題やトラブルを踏まえて改善を重ねることも重要です。現場の実態に合った内容へと更新し続けることで、形骸化を防ぎ、実効性のある車両管理体制を維持できるでしょう。
5. 車両管理はアウトソーシングもおすすめ

車両管理規程を整備し、運用ルールを明確にしても、実際の管理業務は多岐にわたるため、社内だけで対応し続けることに負担を感じるケースも少なくありません。こうした状況においては、車両管理のアウトソーシング(BPO)サービスの活用も有効な選択肢となります。
車両管理のアウトソーシングサービスでは、車両情報の管理や各種手続き、問い合わせ対応などを外部にまとめて委託することが可能です。
結果として、業務負担の軽減とともに、安定した管理体制の構築が期待できます。また、アウトソーシング業者が有する専門的なノウハウを取り入れることで、業務プロセスの見直しや最適化にもつながります。
「車両台数が増加した」「業務が属人化している」といった理由で車両管理の体制維持が難しくなっているなら、ぜひアウトソーシング活用を検討してみてはいかがでしょうか。
(リンク:キムラユニティー 車両管理BPO)
まとめ
車両管理規程は、社用車の安全運用や法令遵守、事故リスクの低減を実現するために欠かせないルールです。
安全運転管理者の選任や各種台帳の整備、点検・整備、事故対応などを明確に定めることで、組織全体で統一された管理体制を構築できます。また、規程は作成して終わりではなく、実務に即した内容へと見直しを重ねることが重要です。
キムラユニティーでは、クラウド型車両管理システム「KIBACO」やアウトソーシングサービス「車両管理BPO」のほか、コンサルティングを含めた包括的な支援を受けられるカーマネジメントサービス(CMS)など、管理体制の構築に役立つさまざまなサービスを提供しております。車両管理に課題を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

