今更聞けないハイブリッド車

 世界初の量産型ハイブリッド車「プリウス」が1997年に誕生し20年以上が経ちました。今では多くの車でハイブリッドモデルが登場しエコカーとして広く普及していますが、ハイブリッド車について皆さんはどこまで知っていますか。そこで今回はハイブリッド車の特徴やメリット、デメリットについて紹介したいと思います。

ハイブリッド車の特徴としくみ

ハイブリッドイメージハイブリッドとは「複数の物を組み合わせる」という意味があります。ハイブリッド車は二つ以上の動力を組み合わせて動くクルマの事を言いますが、プリウスに代表される「エンジン+電気モーター」のハイブリッドが一般的です。
 ハイブリッドにもいくつかのバリエーションがあります。外部から電気を充電することのできる「プラグインハイブリッド」や、エンジンは発電のみに使用されてモーターのみで走行する「シリーズ式ハイブリッド」、基本的にはエンジンで走行してモーターはそのアシストをする「パラレル式ハイブリッド」、比較的低コストな「マイルドハイブリッド」など、一口にハイブリッドと言ってもそのシステムはいくつかの方法があります

ハイブリッド車のメリット

 ハイブリッド車にはガソリン車にないメリットがいくつかあります。その代表的なものをご紹介したいと思います。

1:燃費性能がいい

ガソリンスタンド ハイブリッド車最大のメリットは抜群の燃費性能です。ハイブリッド車は電気モーターが生み出した動力を利用するため、ガソリン消費を抑える事ができます。特に日常の走行距離が多い場合、ガソリン代の差は顕著に表れると言われています。給油の回数を抑えられるので、ガソリンスタンドへ立ち寄る煩わしさも減らせます。

2:走行音が静か

静音性 ハイブリッド車は発進時や低速時にはモーターの動力のみで走行します。そのため、ガソリンエンジン車特有のエンジンが回転数を上げていく音はせず、静かにスッと走り出します。ある程度の速度まで上がるとガソリンエンジンも稼働するので音がするようになりますが、それでもガソリンエンジン車から乗り換えるとその差は歴然です。

3:減税対象車種が多い

エコカー優遇 環境性能や燃費性能に優れたハイブリッド車は、税金面でも優遇されています。自動車取得税・自動車重量税が優遇されるエコカー減税や自動車税が優遇されるグリーン化特例によって、税負担が時限的に軽減されます
 詳しくは経済産業省のホームページをご確認ください。

ハイブリッド車のデメリット

 低燃費で税金も優遇され、いいことづくしに見えるハイブリッド車にもデメリットはあります。次にハイブリッド車が持つデメリット面を挙げたいと思います。

1:車両価格が高い

エコカー(高額イメージ) シンプルなガソリン車と比べて、モーターやバッテリー、それを制御するコンピューターなどが必要になるハイブリッド車は、製造コストが上昇します。同モデルで車両価格を比較すると基本的にハイブリッド搭載車の方が高く設定されています。
 例えばトヨタのカローラ(グレードS/2WD)で比べると、ガソリン仕様は約214万円~に対し、ハイブリッド仕様の新車価格は約257万円~と約43万円も高く設定されています。減税措置や燃費でこの差を埋められなければ、費用面では損をしてしまうことになります。

ハイブリッド車とガソリン車の価格差(トヨタ カローラの場合)
グレード新車価格(税込)
S(ガソリン車) 2,139,500円
HYBRID S 2WD(ハイブリッド車) 2,574,000円
価格差 434,500円

2:修理価格が高額になる

整備(高額イメージ)ハイブリッドシステムの修理や駆動用バッテリーの交換は費用が高額になります。ハイブリッド車の機関は特別なもので、1つの機関を修理するのに20~50万円程度かかるとされています。駆動用バッテリーの劣化については開発が進み、現在では一般的な走行距離であればほとんど交換が必要ない状態になりました。ただし極端に酷使する使い方をすればもちろん交換が必要になり、費用が掛かります。

3:走行音がしないことによる危険

衝突(車と自転車) モーターのみで走行している場合に走行音がしないことで、逆に歩行者や自転車などに気づかれにくいというデメリットがあります。ガソリン車のようにエンジン音がすれば、歩行者は車の気配を察知して避ける事ができますが、走行音がしないハイブリッド車の場合気づかずに接触してしまう可能性もないとは言い切れません。最近ではメーカー側でも時速20km以下になると意図的に音が出る「車両接近通報装置」を標準装備するなどの対策が取られています。

最後に

 燃費が良く環境にも優しいハイブリッド車の人気は高まっています。しかし、その特徴をよく理解した上で購入する必要があります。車両管理者は社内での利用状況などにあった車両選定を行い、無駄のない使用に心掛けましょう。