タイヤの適切な交換時期

 冬の時期になるとノーマルタイヤからスタッドレスタイヤに履き替えるということは、多くの方に認知されていることだと思います。しかし、具体的な交換時期についてはなかなか認知されておらず、答えられない人が多いのではないでしょうか。今回は、タイヤの性能を最大限生かすことのできるタイヤの交換時期についてお話したいと思います。

タイヤの交換タイミング

タイヤを変える主なパターンは、ノーマルタイヤからスタッドレスタイヤに変える時と、スタッドレスタイヤからノーマルタイヤに変える時です。具体的にどの時期に交換したら良いのか、交換しなければならない理由についてご紹介します。

1:ノーマルタイヤからスタッドレスタイヤへ

 スタッドレスタイヤを雪が降り、急遽履き替える方も多いのではないでしょうか。しかし、スタッドレスタイヤの性能を発揮させるためには、200㎞程度の慣らし走行を行うと良いと言われております。ですから急に履き替えるのではなく、雪が降りだす1ヶ月ほど前を目安に履き替えるとベストな性能を発揮します。

慣らし走行

 また、雪が降ってからのタイヤ交換は整備工場の混雑や、車に合うサイズのタイヤの在庫切れが予想されます。スムーズに業務に向かうためにも、早めの交換をおすすめします

2:スタッドレスタイヤからノーマルタイヤへ

 スタッドレスタイヤに交換はしたものの、「ノーマルタイヤへの交換が面倒」「スタッドレスタイヤを履きつぶしたい」などとお考えの方はいらっしゃいませんでしょうか。しかしノーマルタイヤとスタッドレスタイヤは、全く異なる性能を持つタイヤです
 ノーマルタイヤは、気温が7度以下になるとゴムが硬くなり、地面との摩擦が減ることで、スリップなどを起こすようになり、ブレーキ性能が低下します。一方スタッドレスタイヤはマイナス20度という低温でも硬くならない特殊なゴムを使用し、路面との摩擦を多くすることでこのスリップを防いでいます。それぞれのタイヤ特性を生かして使うためにも、タイヤ交換は確実に実施しましょう

夏タイヤと冬タイヤの違い
  交換のタイミングは、ノーマルタイヤは日中が温かくとも夜間に7度以下になると負荷がかかり性能が落ちるため、一日の最低気温が7度を下回らなくなる3月から4月中旬がよいとされています。
 暖かくなってもスタッドレスタイヤを履いたままにしておくと必要以上にゴムが柔らかくなる為、バーストの危険性が高まります。また、水はけが良さそうに見えても実際は排水しにくい構造のため、水の溜まった路面でコントロールができなくなる「ハイドロプレーニング現象」に陥りやすいという危険もあります。安全のためにも、シーズンごとのタイヤ交換をお願いします。

タイヤの保管方法

 前述のように、タイヤの交換時期には気温が関係しているとお分かり頂けたかと思いますが、タイヤを保管している場所がタイヤに適していないと性能が落ちるのではないかと疑問に思った方は多いのではないでしょうか。タイヤは保管しているだけでも劣化しますが、正しい保管方法を行うことでよりよい状態を保つことができます
 そこでタイヤの性能をなるべく保ち、劣化の少ない保管方法をご紹介します。

タイヤ縦積み保管 まずタイヤを保管する前に、劣化の原因の油と汚れを水洗いで落とします。洗剤での洗浄は汚れがひどい場合のみ使います。洗い終わったら乾いた布で良く水を拭きとり乾燥させます。水分が残ると劣化の原因となります。保管する場所は高温多湿な場所は避け、屋内で管理が好ましいとされています。密閉された場所での保管は定期的に空気の入替を行いましょう。湿気が屋内で管理できない場合は、日の当たらない湿気のない場所で保管します。

 過去のコラムにタイヤ保管の注意点をまとめたものがありますので、こちらもぜひ参考になさってください。

最後に

 性能を落としたタイヤでは事故の危険性が高まります。タイヤ性能の劣化を防ぐには適切なタイヤ交換とタイヤローテーションの実施が大切です。タイヤの性能を維持することは安全運転に繋がります。安全運転は運転技術だけでなく車両管理の点でも注意する点があり、今回はその一部を紹介させて頂きました。このコラムを参考にタイヤの交換時期や保管方法を再度考えて頂いたら幸いです。