追突事故を防ぐコツ

 12月は道路が混雑し、交通事故が多い月です。中でも混雑渋滞から起こる追突事故の危険性が考えられます。警察庁が発表した「平成30年中の交通事故」によると、平成30年度に起きた交通事故全体の約35%が追突事故という結果が発表されています。約4割も起きている追突事故を防ぐためにはどうしたらいいのでしょうか。
 今回は追突しない・されないためのコツをお話したいと思います。

どうして追突事故が起こるのか

追突事故の原因は、大きく前方不注意動静不注視の2つだと言われています。

前方不注意

前方不注意 前方不注意とはわき見運転と呼ばれるもので、運転中に何かに気を取られて前方から視線を外してしまう事を言います。例えば看板や店を見ていた、ぼんやりと考え事をしていた等が挙げられます。
 中でも最近増加しているのがナビやオーディオ、スマートフォンを操作・注視することによる「ながら運転」です。

2019年12月から道路交通法が改正され、このながら運転の罰則が厳罰化されました。違反点数の引き上げ、反則金の値上げ、事故で人を死亡させたり傷つけた場合には即免許停止の措置が取られる大変厳しい内容です。

動静不注視

動静不注視 動静不注視は前車を認識しているのに動静を注意して見ていない状態をいい、「思い込み運転」と呼ばれるものです。例えば信号が青になれば前車は走り出す「だろう」という思い込みで、まだ前車が発進していないのにアクセルを踏んで追突するという状況です。車の流れは突然変わることがあります。急に前車が減速したり、隣車線の車が突然前に割り込んでくるかもしれません。「いつも大丈夫だから、今日も大丈夫」と漫然とした気持ちで運転していると 、思わぬ事故に繋がりかねません

 この他にもスピードの出し過ぎ、前車との車間距離を詰め過ぎていた、車間距離を空けていたが距離が足らず急停止・急減速に反応できなかったなど、原因は様々ですが追突事故はドライバーの誤った動作・判断が引き金になることが多いのです。

追突事故を防ぐためには

 それでは追突事故を防ぐにはどのような運転を心掛ければよいでしょうか。走行時、停止時、発進時の3つの動作にそれぞれ追突事故防止のポイントがありますので、ご紹介いたします。

走行時

車間距離を充分に取る

 前車との車間距離が短いと急停車など突然の挙動変化に対応できず、追突してしまう危険性が高まります。車間距離は十分に取り、前車のブレーキランプが点灯したら足をブレーキペダルへ置き、いつでもブレーキを踏めるようにしましょう
とはいえ、運転しながら距離を測るのは難しいです。そこで車間距離を取る目安として「車間時間」を取ることを考えてみましょう。車間時間とは看板や木などの目標物を決めて、前車がその目標物を通過してから同じ目標物を通過するまでの時間のことで、目安として3秒以上が望ましいとされています。ポイントは「いちまるまるいち、いちまるまるに、いちまるまるさん」とゆっくり数えることです。

車間時間3秒

夕暮れ時は早めのライト点灯

早めのライト点灯 周囲が薄暗くなる夕暮れ時は視覚機能も低下し、追突事故を起こしやすくなります。早めにライト点灯をして、視界確保と同時に前車へ自車の存在を知らせましょう。辺りが暗くなってしまう前の16時頃がライト点灯の目安です。

停止時

早めに軽くブレーキを踏んで、後続車に注意を促す

ポンピングブレーキ 後続車から追突されないためには、自車が停止することを知らせて注意喚起する必要があります。停止する時は早めにブレーキを踏んでポンピングブレーキを活用しましょう。ブレーキ灯を点滅させることで後続車へ合図を送れば、後続車が減速に気づきやすくなります。またバックミラー等で後続車が自車の減速に気づいているかも注意して見ましょう。

停止時も前車との車間距離を取る

停止時車間距離 停車時に車間距離を詰め過ぎていると、信号の変わり際に前車が動くと思い込んでブレーキから足を離し、追突してしまう危険が高まります。停止時にも十分な車間距離を取っていれば、前に進む距離が増えるので追突する前に停止できる確率が上がります。前車の後輪と路面の設置点が運転席から確認できる位置が、停車時の目安です。

発進時

前車が動き始めてからブレーキから足を離す

前車を確認 信号が青に変わった時、前車が動く前からブレーキから足を離していませんか?AT車の場合、ブレーキから足を離してしまうとクリープ現象でゆっくり前進して追突する危険性があります。さらにアクセルを踏めば衝突の衝撃は強くなります。信号が青に変わり発進する時は前車が動き始めたことを確かめてからブレーキから足を離し、一呼吸置いてからアクセルを踏み始めましょう

最後に

 年末は特に業務量が増えて気持ちも焦りがちになり、つい運転中に業務の事を考えたり、スマホの着信が気になる事があると思います。しかしそんな時こそ目の前の運転に集中するようにしましょう。一時の気のゆるみが思わぬ事故を招きかねません。ハンドルを握ることで交通社会の一員として、業務中ともなれば企業としての責任を問われることになります。忙しい時こそ、焦らず慎重な運転を忘れないようにお願いします。