企業では、社用車など事業に車両を使用する場合、安全運転の確保のため、法律によって運転日報の作成が義務付けられています。
運転日報は法令遵守のためだけではなく、企業にとって安全の確保や業務における課題解消などにも活用できるものですので、なぜ作成が必要なのかやその内容などをしっかりと把握しておく必要があるでしょう。
そこで今回は、運転日報に記載すべき項目からその保存期間、また運転日報の法的義務についても詳しくご紹介します。
1. 運転日報とは?

運転日報とは、業務で自動車の運転をした場合に、その状況や内容を都度記録し、保管しておくための書類です。
運転日報の作成には次のような目的・役割があります。
1-1. 運転日報の作成目的
運転日報は、主に次の3つの役割を担っています。
- 法令遵守
- 安全運転の管理
- 業務管理
次章でもご紹介するように、運転日報は自動車を使用する企業では、法令でその記録義務が定められています。
その目的は、運転者の走行時間や距離などを記録し、把握することで、過労状態などでの運転を防ぎ、交通事故を予防することにあります。
また、運転日報には安全管理以外にも、運転者の業務内容を把握し、業務改善に役立てられるといった一面もありますね。
自動車を使用する企業にとって、運転日報作成は重要な作業になるでしょう。
2. 運転日報の作成義務
前述したように、運転日報は自動車を使用する企業において、作成が義務付けられています。
ここでは、その義務の対象となる企業と作成義務に関する法律についてご紹介します。
2-1. 作成義務に関わる2つの法律
運転日報の作成義務は、次の2つの法律で作成が義務付けられています。
貨物自動車運送事業輸送安全規則:自動車による貨物の輸送を行う事業者に対し、国土交通省が定めている規則
道路交通法施行規則:自動車・自転車運転者や歩行者などが守るべき交通に関するルールで、警察庁が所管するもの。
それぞれ、対象となる事業者が異なるでしょう。
2-2. 運転日報の記録・保存が義務となる企業
運転日報の記録・保存が義務とされているのは、以下のような企業です。
貨物自動車運送事業輸送安全規則での対象企業
こちらは国土交通省の認可を受けた一般貨物自動車運送事業者などが対象で、事業用のトラックなどの自動車の運行を管理する営業所ごとに、車両台数に応じて定められた人数以上の運行管理者を選任しなければならないと定められています。
その運行管理者の業務のひとつとして、「運転者への運転日報の記録・保存」が義務付けられています。
(参考:e-Gov法令検索「貨物自動車運送事業輸送安全規則」 )
道路交通法施行規則での対象企業
道路交通法施行規則では、以下の企業に対し、安全運転管理者の選任が義務付けられています。
- 乗車定員11人以上の自動車を1台以上保有している企業
- 5台以上の自動車を保有する企業
これらの企業に対して安全運転管理者の選任が必要であり、規則で安全運転管理者の役割として、運転日誌の記録・保管の実施が義務とされています。
(参考:e-Gov法令検索「道路交通法施行規則」 )
3. 運転日報に記載すべき項目
運転日報には、法令にて記載が義務付けられている項目があります。
運転日報作成の参考として、「貨物自動車運送事業輸送安全規則」と「道路交通法施行規則」それぞれの場合での記載項目についてご紹介します。
3-1. 運送業者などの必須記載項目

まず、運送業者などが対象となる貨物自動車運送事業輸送安全規則にて記録が義務付けられている項目が、以下の通りです。
- 運転者等の氏名
- 事業用自動車の自動車登録番号
- 発車及び到着地点と日時
- 主な経過地点・走行距離
- 業務交替の地点・日時
- 休憩・睡眠時の地点・日時
- 貨物の積載状況、集貨地点・日時等(車両総重量が8t以上または最大積載量が5t以上の事業用自動車の運行業務に従事した場合)
- 事故や著しい運行の遅延その他の異常な状態が発生した場合の概要及び原因
- 運行指示内容
(参考:e-Gov法令検索「貨物自動車運送事業輸送安全規則」 )
3-2. 社用車などの場合の必須記載項目
続いて、道路交通法施行規則にて記録が義務付けられている項目です。
- 運転者等の氏名
- 運転の開始及び終了の日時
- 走行距離
- その他自動車の運転の状況を把握するため必要な事項
(参考:e-Gov法令検索「道路交通法施行規則」 )
記録は必須ではありませんが、その他にも車両点検に関してなど、必要に応じて運転日報二項目を追加することで、企業でもより明確に運転状況を把握し、安全管理を行うことができるでしょう。
4. 運転日報の保存期間
運転日報は、ただ記録すればよいというだけではなく、規則において保存も義務付けられています。
その保存期間は、貨物自動車運送事業輸送安全規則では最低1年間とされており、道路交通法施行規則でも、明確に定められてはいませんが、アルコールチェックの結果記録の保存期間が最低1年間とされているため、それを加味すると少なくとも1年間は保存が必要になるでしょう。
ただ、労働基準法においては労働関係に関する重要書類は5年間の保存が義務付けられているため、5年間の保存としておくのが無難ですね。
4-1. 推奨される保存形式
保存の形式は、紙でもデータでもどちらでも問題はありません。
ただ、5年間分となるとファイリングにも手間がかかり、また保管スペースも広く必要になるため、データがおすすめですね。
データでの保存である場合は、編集履歴が残るシステムを用いるなど、データ改ざんを防ぐ仕組みづくりを行う必要があります。
4-2. 作成・保存など管理を怠った場合に罰則はある?
運転日報の作成・管理そのものへの罰則は定められていませんが、怠った理由が安全運転管理者の選定がない・届け出を行っていないというものによる場合、未選定の場合には50万円以下の罰金、届け出を行っていない場合には5万円以下の罰金が科せられます。
また、法的な罰則だけでなく、事故時に管理のずさんさが発覚すれば、企業の信頼を大きく落とす事態になってしまうでしょう。
5. 運転日報は車両管理システム導入によるデジタル化がおすすめ

運転日報は、記事内でもご紹介したように、企業の自動車の安全管理を担う安全運転管理者が行うべき業務のひとつです。
安全運転管理者の役割は多岐にわたり、全車両管理には大きな負担があるでしょう。
その業務負担を軽減し、より効率的に安全運転管理を行うためにおすすめなのが、車両管理システムの導入です。
車両管理システムとは、社用車などの車両管理・安全確認をデジタル化により効率的に行うことができるシステムです。
その機能・サービスはシステムによっても様々ですが、
- 企業の持つ車両の一元管理
- アルコールチェックの連携確認・点呼
- 事故情報の管理
- 事故など緊急時の通知
- 車両コストの最適化のための比較
などを提供しており、
企業が安全かつ最適な自動車の使用を行うためのサポートを、パソコンやスマートフォンなどを活用してより効率的に行えます。
運転日報に関しても、モバイル対応により運転者が手軽に行えるようになるだけでなく、紙の無駄を減らしながら、データで簡単に保存管理ができるようになるでしょう。
車両管理システムを導入することで、安全運転管理者の負担を減らし、より安全な運行が可能になります。
自動車を使用している企業は、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回の記事では、企業で義務付けられる運転日報について、その作成の義務についてや項目についてなど、詳しくご紹介してきました。
より効率的な運転日報の記載と保存・管理を行うには、記事内でおすすめしたように車両管理システムの利用が良いでしょう。
さらに、社用車利用による交通事故などのリスクをできる限り減らしたいという企業は、車両管理業務をアウトソーシングするというのも選択肢のひとつです。
ぜひ自社に合った方法で、安全のために適切な車両管理を行ってくださいね。