自宅車庫での事故!自動車保険はどこまで使えるの?

 注意深く運転していても事故を起こす可能性をゼロにすることはできません。「うっかり自宅車庫の壁にぶつけて車両にキズがついてしまった」という経験をされたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。このように他人の財物ではなく自分の財物にぶつけてしまったという場合でも自動車保険を使うことはできるのでしょうか?今回のコラムでは知っていそうで知らない、自動車保険の補償範囲についてご案内いたします

一般的な任意保険補償内容

 まずは任意保険について解説します。任意保険は自賠責の保険金を超える賠償金が発生した場合に役立つ保険です。しかし、加入するかどうかは個人の意思に任されています。保険料は等級という制度や加入する人の年齢などによって左右されます。また、保険種目も自賠責での「対人賠償」のみの補償に比べ、幅広くなります。

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一般的な保険種目は以下の通りです。

 保険の種目を見てもわかる通り、ケガをさせた相手は対人賠償で補償するほか、壊したモノは対物賠償、自分のケガは人身傷害......といった具合に、補償の幅も広がります。

自宅車庫で事故発生!

 皆さんが任意保険に加入される理由は、自賠責保険だけでは不十分な範囲を補う事を目的に外出中に起こる事故を想定し補償内容を選ばれることが多いのではないかと思いますが今回は自宅車庫で事故が発生した場合の補償範囲を確認してみたいと思います。

自宅の車庫に車をぶつけてしまった場合と
家族にケガを負わせた事例について

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1:車両保険を使用して車を修理できるのか?

 まず車両保険について説明します。結論から言うと、車両保険を使用することはできます。自宅の駐車場内であっても、自分の車にかけている車両保険の保険金額に応じた修理費用が保険会社から支払われます。ただし一般車両保険に加入しているのが条件になります。「車対車限定A」など、相手が車のみでしか使用できない限定的な車両保険の場合には、保険適用外となり、車にかかる修理代のすべてが自己負担となります

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2:対物保険を使用して車庫を修理できるのか?

 次に対物保険について説明します。ぶつけてしまった車庫についての補償はどうなるのでしょうか?自動車保険の基本な考えは以下の様になっています。

・相手の車や建物の修理代=対物保険
・自分の車の修理代=車両保険

以上のような基本的な原則があるので、本来、ぶつけてしまった車や物には「対物保険」を使用しますが、あくまで「相手の財物」ということが条件となります。

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つまり、自宅の車庫については「保険適用外」となり、対物保険を使うことはできないのです!
さらに自分だけではなく、親族間も保険対象外になります

3:自分の家族にケガをさせた場合、対人保険で補償されるのか?

 最後に対人賠償保険についてご説明します。たまに「自分の運転する車で誤って子どもや家族にケガをさせてしまった」という悲しいニュースを聞くことがあります。このような場合、子どもや家族の治療費等は出るのでしょうか?自宅の駐車場に車庫入れする際に自分の子供や家族がいることに気付かずケガをさせてしまったようなケースについて、結論からいうと補償対象外となっています。自動車保険の対人賠償保険は第三者(他人)に対する賠償責任を補償するものなので、他人(第三者)ではない配偶者や子供などの家族については、補償対象外となるのです。

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保険で補償されるケースについて

 上記のようなケースで対物保険と対人保険は使用できないとお伝えしましたが、保険が使用できる場合もあります。自動車保険から話が逸れますが、もし火災保険に加入しているなら、火災保険の範囲で車庫の損害を補償してもらえる可能性があります。その際は一度、火災保険の加入保険会社に相談してみるといいでしょう。また人身傷害保険に「車内・車外ともに補償型」を付帯していれば、配偶者や子供等の家族のケガが補償されます。

まとめ

 対物賠償責任保険は他人のモノを壊してしまったときのための補償なので、自分の家や車庫にぶつけてしまったという場合はその修理費用について補償を受けることはできません。しかし火災保険であれば建物外部からの物体の落下・飛来・衝突という補償項目などで補償を受けることができる場合があります。また、車も傷ついた場合は車両保険、そして車に乗っていた自分や同乗者がケガ等をした場合は人身傷害や搭乗者傷害で補償を受けることができます。
 このように、自動車保険の契約内容によっては自損事故についても補償を受けられるケースもあります。加入している自動車保険の保険証券や契約書などを確認し、どのようなケースで、どのくらいの保険金を受け取れるのかを把握しておきましょう。いくら「注意深く運転しているから大丈夫」と思ってはいても、自損事故を起こしてしまうことはあります。まだ加入していない方は、万が一に備えて自動車保険への申込みをご検討ください。