高齢ドライバーの事故抑止に!『サポートカー限定免許』

 ペダルの踏み間違いによる店内へ突っ込む事故。発見の遅れによる歩行者への接触事故...全国で高齢者ドライバーのうっかり運転による交通事故が後を絶ちません。運転技能に不安があるものの車は日常的に使用しているために免許の返納をためらう方は多くいらっしゃいます。そこで令和4513日より道路交通法が改正され、新たに高齢ドライバーの交通事故防止の対策として導入されたのが『サポートカー限定免許』です。今回は、このサポートカー限定免許の制度の概要と注意点についてご紹介します。

サポートカー限定免許とは?

2206_1_1.png サポートカー限定免許は普通運転免許を保持している方が申請することにより、運転することができる自動車を「サポートカーに限定する」条件を付与することができます。申請をすれば交付され、免許証には「普通車はサポートカーに限る」と記載されます
 警視庁が発表している資料では、高齢ドライバーの事故の要因の内、81.6%を占めているのが「発見の遅れ」です。サポートカーは、この「発見の遅れ」の対策にとても効果的だとされています。それではこのサポートカー限定免許で運転ができる車両に実装される安全運転支援装置というのは一体どういった機能なのでしょうか。

安全運転支援装置について

 サポートカー限定免許では、下記の安全運転支援装置が搭載された普通自動車のみ運転することができます。

①:衝突被害軽減ブレーキ(自動車、歩行者)

車載レーダー等により前方の車両や歩行者を検知し、衝突の可能性がある場合には、運転者に対して警報し、さらに衝突の可能性が高い場合には、自動でブレーキが作動する機能

②:ペダル踏み間違い時加速抑制装置

発進時やごく低速での走行時にブレーキペダルと間違えてアクセルペダルを踏み込んだ場合に、エンジン出力を抑える方法により、加速を抑制する機能

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サポートカー限定条件免許の対象車両

2206_1_2.png サポートカー限定免許で運転ができる車両の安全運転支援装置は、前述①の装置が道路運送車両の保安基準に適合するもの、又は前述①及び前述②の装置がそれぞれ国土交通大臣による性能認定を受けているものに限られます。注意点として、サポートカー限定免許で許容している安全運転支援装置は、後付けの装置については対象となりません。もし勘違いをしてサポートカー限定免許で後付けの安全支援装置を実装した自動車を運転してしまった場合は、免許条件違反となりますのでサポートカー限定免許制度について特性を十分に理解した上でご申請ください

最後に

 サポートカーというのは自動運行装置とは異なり、運転者が絶えず周囲の状況を確認しながら必要な運転操作を行うことを前提とした運転支援技術です。サポートカーの限界や注意点を正しく理解し、その技術を過信せずに運転する必要があります
 現在、75歳以上の高齢ドライバーが起こした死亡事故は年々増加の一途をたどっていますが車がないとどこへも行けない地方で、果たして免許返納だけが残された手段なのでしょうか。それともサポートカー限定免許が高齢者の交通事故防止の切り札となるのでしょうか。今回の制度は「車は手放したくないけれども運転に不安がある」という方にとっては、有効な選択肢になるのではないかと考えられます。