クルマの日常点検~気を付けるべき5つのポイント~

 近年はクルマのメンテナンスフリー化が進んできていますが、クルマには3万点もの部品があり、使用していれば当然摩耗したり、消耗したり、壊れるようなことがあります。そうしたクルマのトラブルも、人間の体の不調と同じで、早期発見・早期治療を行なえば小さなパーツや消耗品の交換、軽微な作業・調整で比較的安価で済むことができます。しかし、放っておくと交換部品も増え、大規模な整備が必要になることもあります。最悪、ある日突然クルマが動かなくなり、レッカーを呼ぶ事態にもなりかねません。
 そういったトラブルを防ぐには、クルマの異常にいち早く気づくことが重要なカギとなります。日々のちょっとした気配りで、小さな異変に早期に気付くことができますが、どこをどのように点検すればいいのでしょうか?今回は走行時の安全を確保するために、皆様にもぜひ習慣化していただきたい5つの日常点検のポイントについてご紹介いたします。

クルマに乗る前や運転席に座った時に分かる異常

1:タイヤのチェック、その他外回りのチェック

クルマに乗る前に、まずはクルマの外回り、主にタイヤの状態をチェックしてください。クルマの部品で、唯一路面と接しているのがタイヤです。「走る」「曲がる」「止まる」といったクルマの基本的な性能は、すべてタイヤを通じて路面に伝えられています。

1:空気圧は適性ですか?

2007_2_1.jpg 燃費の悪化、走行性能の低下、偏摩耗、タイヤの損傷・故障を未然に防ぐために、できればエアゲージで計って確認してください。適正な空気圧は運転席側のドア付近または給油口に貼付された空気圧表示シールでご確認ください。

2:ミゾは充分に残っていますか?

2007_2_3.jpg 雨天時にハンドルやブレーキが効かなくなるハイドロプレーニング現象の発生を防ぐため、走行前にタイヤの残り溝をチェックしましょう。

3:偏摩耗していませんか?

 タイヤの寿命を延ばし、車の異常を見つける為に、タイヤの接地面に極端にすり減っている箇所がないかを点検しましょう

4:キズはありませんか?

 パンクやバーストなど重大な事故にもつながるトラブルを未然に防ぐためにタイヤにキズ・ひび割れができていないかチェックしましょう。

 その他、クルマとぐるっと一周して、ボディやガラスのキズの有無、そして地面にオイルや水漏れの跡がないかをご確認ください。

2:運転席に座ったら

2104_2_1.jpg 運転席に座ったら、スタートボタンを押し(キーを回し)、エンジンを始動しますが、この時エンジンのかかりやすさが普段と同じか確認してください。スターターをいつもより長めに回さないと始動しない場合はバッテリーの劣化、スターターの不具合、プラグ・点火系の問題、センサー系のトラブルの予兆が考えられます。

3:走り出したら

 2104_2_2.jpgエンジンが始動したらすぐに走り出しても問題はありません。停止状態の暖機運転は不要ですが、暖気走行は必要です。メーターパネルの青い水温警告灯が消灯するまでは(水温計が動き出すまでは)各部をウォームアップするため、ゆっくり走行を心がけてください。この間、できればオーディオ類はオフにして、クルマから異音が聞こえないかをチェックします。異音にもエンジン系、駆動系、ブレーキ系、排気系などいろいろな発生源があるので、もし異音を感じたら、だいたいの発生場所と異音の種類を覚えておいて、整備士に伝えてください。スマホで音声メモを使って録音しておくのも有効です。

走行中~走行後において気づくことができる異常

4:走行中

2104_2_3.jpg 走行中は振動に注意してください。ハンドル、エンジン、タイヤ、ブレーキなどから、いつもとは違う振動を感じたら整備工場へご相談ください。タコメーター付きのクルマなら、アイドリング時の回転が安定しているか、加速した時の吹き上がりやアクセルを戻したときの回転の落ち方などが普段と変わらないかをご確認ください。

5:走行後

 走行後は主に匂いをチェックしてください。エンジンルームの方から甘い匂いがしているときは、クーラントが漏れている可能性が大きいです。タイヤのあたりから、レジン(有機物)の焼けるような匂いがするときは、ブレーキがフェードしかかっている可能性があります。ビニールの焦げたような匂いだと、配線系の異常が考えられ、特にガソリン臭がする場合は燃料漏れの恐れもあり、発火事故になりかねません。早急に整備工場などに相談しましょう。

最後に

 最後になりますが、できるだけコンスタントにある程度の距離をドライブすることもクルマの健康状態を保つ上で重要な要素となります。クルマは走るための機械なので毎日乗ることが一番健康的です。毎日乗っていれば異変にも気づきやすく、できればときどきロングランをするとクルマの運動不足の解消にもなります。以上が日常点検のポイントとなります。より安全で快適なカーライフのために日々の目視チェックを行い、更に音・匂い・振動に異常はないか、五感をフル活用して実践してみてください