ISO39001

 悲しい交通事故は後を立ちません。交通事故による死者数は全世界で130万人以上、負傷者数は5,000万人以上とも言われており、自動車事故の削減・撲滅は極めて重要な問題となっています。もちろん個人単位での心がけも大切ですが、企業・団体単位でも自動車事故の削減・撲滅に向けた活動の必要性は、高まる一方だと感じます。

そんな中、私どもキムラユニティーでは道路交通安全のマネジメントシステム規格であるISO39001を取得しました。第4回目のコラムはこの「ISO39001」についてお話したいと思います。

ISO39001とは

 道路交通安全マネジメントシステム(RTSマネジメントシステム)のことを指します。

混雑した道写真イメージ これはISO(国際標準化機構)が2012年10月に自動車事故による死者や重傷者を撲滅することを目的として発行した「組織のマネジメント」に対する国際規格です。ISO39001はまえがき、序文に始まり、1章~10章で構成されています。認証を目指す組織は要求項目を明文化し、審査登録機関による審査をクリアする必要があります。審査をクリアすると、3年間有効な登録証が交付されます。ですが、ISOは取組みの継続性が求められるため、その後も審査登録機関による定期審査が毎年行われ、4年目には登録証の更新が必要になります。

  ISO39001は、交通安全に関わる全ての組織で活用できます。ですから、バス、タクシー等の運送業者だけに限らず、以下のように業種・規模を問わず幅広い組織で導入することができるのが特徴です。

業種具体例
乗客・貨物運送に関わる組織 バス、タクシー、トラック輸送、レンタカーなど
物流・営業・通勤で自動車を使用する組織 工場、倉庫、流通サービス、金融サービスなど
自動車・自動車部品の設計・製造・保守・検査に関わる組織 自動車メーカー、部品メーカー、整備工場など
輸送ニーズが発生する施設の運営に関わる組織 駐車場設計、管理会社など
救急救命医療の準備にかかわる組織 救急医療機関、病院など
道路の設計・施工・運用・保守に関わる仕事 道路運営、管理会社
道路交通関連法規の制定・規制に関わる組織 国、自治体

導入のメリット

 ISO39001を導入することで、主に次のようなメリットがあります。

1:交通事故の減少に伴うコスト削減

コスト削減 事故が発生すると、その後処理に多くの時間とコストがかかります。交通事故を削減することは、このようなコスト削減に直結しているのです。また、交通事故が減れば損害保険料の削減にも繋がります。

2:企業・ブランド価値の向上

企業価値向上 国際機関の認証を取得することで、社会からは道路交通安全に真摯に取り組む会社という信頼を得ることができます。企業ブランド価値やイメージが高いという評価に繋がり、新たなビジネスチャンスの拡大も期待できます。さらに社会貢献やCSR活動(企業の社会的責任)の推進にも繋がります。

3:ビジネス機会損失の低減

機会損失の低減 交通事故の発生は、取引先をはじめとしたステークホルダーからの信用を失い、その結果ビジネス機会の損失につながることが考えられます。交通安全マネジメント活動によって、このような機会損失の低減が期待できます。

ISO39001取得のポイント ~PJメンバーの声~

 弊社にてISO39001を取得するにあたり、全社プロジェクトを組成し活動を展開して参りましたが、実際の取得作業に携わったそのメンバーに「ISO39001」取得のポイントについてヒヤリングしてみました。

ポイントは......

1:トップマネジメントの交通事故撲滅への熱い想いの発信(トップ意志表示の重要性)

2:各現場管理職にISO39001取得意義の動議付けを行い、彼らが中心となって活動を展開する(管理監督者が率先垂範する事が大事)

3:現状の安全運転活動に応じた目標の設定(無理なく継続させる為に)

 また、「ISO39001取得というと敷居が高いように感じられますが、目的は"交通事故を削減する"ことです。取得前から、日々交通安全活動に継続的に取組む事により、取得に向けスムーズに進行する事が出来ると実感致しました。」との声もありました。

 クルマに携わる企業は、日頃から道路交通安全推進に努める社会的責任があると考えます。ISO39001の取得を行うことで、こういった意識の向上にも繋がるのではないでしょうか。