ハイドロプレーニング現象に注意

 新年も迎え、雪の降らない暖かな冬を感じている方も多いと思います。降雪せず雨が降っている状態でも、路面には危険が隠れていることをご存知ですか。今回は雨天時の運転で注意したい「ハイドロプレーニング現象」について詳しく解説し、対応方法についてもご紹介致します。

ハイドロプレーニング現象とは

 雨が降り路面に水がたまった状態である程度のスピードを出し走り続けていると、タイヤの排水能力がオーバーしてしまい、突然タイヤが路面を掴みきれなくなってクルマのコントロールが効かなくなるという現象の事をいいます。

ハイドロプレーニング現象図

 ハイドロプレーニング現象が起きやすくなる条件はいくつかありますが、一番の大きな要因は路面状況と言えます。ゲリラ豪雨のように短い時間に大量の雨が降ると道路に水が溢れ、タイヤが排水できる量を上回る水が溜まり、路面に水の膜ができます。またさほど雨量が多くない場合でも走行車線等トラックの重みで凹んだ轍(車輪の跡)には水が溜まりやすく、ハイドロプレーニング現象が起こりやすいとされています。
 この現象は一般道や高速道路限らず発生しますが、特にスピードを出して走行する高速道路で発生しやすいと言われており、交通事故や車を大破させてしまうなどの被害が毎年多く出ています。また、スピードが出ていない場合でも水深が深い場合には時速70km程度でも発生することがあるので、注意が必要です。

現象が起こるとどうなる?

雨で滑る車 ハイドロプレーニング現象が発生すると、タイヤが本来持つ性能を発揮できず、ステアリングを操作しても、ブレーキを踏んでもクルマは一切コントロールを受け付けません

 大きな水の音とともに車が横にずれていった時、タイヤと路面との間にできた水の膜の上を完全にクルマが滑走しているような状態に陥ります。この場合慌ててハンドルを切っても、残念ながらドライバーにはなす術がないのです。

対処方法は?

雨天時減速 ハイドロプレーニング現象が起きてしまったらブレーキやハンドルが効かないので、操作する意味がありません。対処法はまずは「何もしない事」です。
この現象はタイヤと路面の間に水が入り込み、車が水の上を滑る、つまり「タイヤが水の上に浮いた状態」になることが原因で起こります。ですから、ハンドルを切ったり、ブレーキを踏んだりせずにそのまま減速し、タイヤが道路に接地してコントロール可能な状態となることを待つ必要があります。車の操作ができるまで回復したら、速度を出しすぎないように運転を続けましょう

未然に防ぐための3つの対策

 ハイドロプレーニング現象が起きやすくなる条件は、ドライバーの心がけで防ぐことができます。次の3つのポイントに注意して走行するようにしましょう。

1:濡れた路面、雨天時は速度を控えて走行する

雨天時減速 スピードを出すことにより車が滑走した状態になってしまう為、雨天時にはスピードを落とし、ハンドルコントロール可能な状態で走行しましょう。

2:タイヤの空気圧を規定値にする

空気圧チェック 空気圧が不足しているとタイヤが路面を噛む力が維持できなくなり、ハイドロプレーニング現象が起こりやすくなりますので、定期的にタイヤの空気圧が不足していないか点検しましょう。

3:タイヤの溝が十分にある状態で走行する

タイヤチェック グリップ性能が劣る事により排水性が低下してしまい、制動距離が長くなってしまいます。前車の追突事故の原因になる為、摩耗が進んでいるようであれば早めのタイヤ交換を意識しましょう。また、グリップ性能を強化した雨の日に強いタイヤも販売されているので、交換する際には検討してみてはいかがでしょうか。

最後に

 命の危険に関わるハイドロプレーニング現象は高速道路に限らず、一般道路でも条件が揃ってしまえばいつでも誰にでも起こりうる現象です。起こってしまうと自力で止めることは出来ませんが、ドライバーの心がけで防ぐことは可能です。ご紹介した3つの対策を踏まえて、走行スピードにも気を配り走行するなど安全運転に努めましょう