社用車を有する企業において、業務中の交通事故やトラブルを防ぐために、車両の点検は欠かせません。
車の不良に気づかず運転し、その状態で事故を起こしては企業の車両管理責任を問われることにもなり、車の状態を適正に保つことは車両管理の中でも基本と言えるでしょう。
そこで今回は、そんな社用車の点検について、その重要性や点検の種類、点検を行うべき項目・ポイントなどを詳しくご紹介していきます。
1. 社用車の点検は義務!その重要性とは?

自動車は使用や時間経過により、徐々に部品が劣化していくなど、性能が低下していくリスクのあるものです。
万が一劣化により走行中に不具合が起きてしまえば、交通事故などのトラブルを招いてしまう可能性もあるでしょう。
特に社用車は業務で使用する都合上、使用頻度も走行距離も多くなりがちです。
走行中の故障や事故を未然に防ぎ、従業員の安全や企業への影響を防ぐためにも、日常的に社用車の点検を行うことは非常に重要になります。
1-1. 社用車の点検に関する法的義務
道路運送車両法第47条には、「使用者の点検及び整備の義務」があります。
ここでは「自動車の使用者は、自動車の点検をし、及び必要に応じ整備をすることにより、当該自動車を保安基準に適合するように維持しなければならない」と定められており、社用車の点検が法的にも義務付けられていることが分かります。
1-2. 点検義務を怠った場合の罰則は?
社用車の点検義務を怠った場合、所有者である企業に対して罰則が科されます。
現状日常点検に対する罰則はありませんが、事業用自動車(バスやトラック、タクシーなど)で定期点検を怠った場合、30万円以下の罰金とされています。
また、整備不良が原因となる事故が発生した場合には、違反点数や罰金が科される場合もあるでしょう。
2. 社用車点検の種類と実施頻度
社用車の点検には、大きく分けて以下の3つの種類があります。

- 車検
- 定期点検
- 日常点検
それぞれ詳しく見ていきましょう。
2-1. 車検
車検とは「自動車検査登録制度」の略であり、自動車が保安基準を満たしているかを確認するものです。
自家用乗用車(事業用車以外の社用車)の場合で、新車時に購入から3年後、移行は2年ごとに定期的に受ける必要があります。
定期的に行うことから定期点検と混同されがちですが、車検は定期点検のように車両の不具合を見つけるための点検ではなく、保安基準を満たしているかを検査するもののため、車検を受けていない(有効期限が切れている)状態だと、公道を走ることができません。
2-2. 定期点検
定期点検は、前述した道路運送車両法の第48条にて義務付けられている自動車の点検です。
法定点検とも呼ばれており、整備工場などに依頼して点検を行ってもらうのが一般的です。
定期点検は、次のように車種によって点検の頻度・点検項目の多さも異なります。
| 車種 | 頻度 | 点検項目の数 |
|---|---|---|
| 自家用車・軽自動車 | 1年ごと 2年ごと |
29項目 60項目 |
| 中小型トラック(自家用)・レンタカー(乗用車) | 6ヶ月ごと 12ヶ月ごと |
24項目 86項目 |
| バス・トラック・タクシー(事業用車)・大型トラック(自家用)・レンタカー(乗用車以外) | 3ヶ月ごと 12ヶ月ごと |
51項目 101項目 |
| 被牽引自動車 | 3ヶ月ごと 12ヶ月ごと |
23項目 36項目 |
| 二輪自動車 | 1年ごと 2年ごと |
35項目 54項目 |
2-3. 日常点検
日常点検は、社用車を所有する企業や運転者自身が行う点検です。
運転席回りやエンジンルームなどから車両に不具合がないかを確認するもので、これによりいち早く車両の不具合を発見できます。
法律などで定められている点検頻度などはありませんが、社用車では1日1回、運転の前に実施するのが望ましいでしょう。
3. 日常点検で行うべき点検項目

それでは、日常点検ではどの項目の点検を行うべきなのでしょうか。
ここでは、日常点検で行うべき点検項目を、場所ごとにご紹介していきます。
3-1. エンジンルーム
まずは、エンジンルームです。
エンジンルームの点検は車両を平坦な場所で駐車したまま、車止めをかけてパーキングブレーキを聞かせた状態で、以下の項目をチェックしましょう。
- ブレーキ液の量
- エンジンオイルの量
- ウィンドウ・ウォッシャ液の量
- 冷却水の量
- バッテリー液の量
また、運行前にはエンジンのかかりが問題ないかや、ガソリンの量なども見ておくと良いですね。
3-2. タイヤ・ランプなどの車両周り
タイヤ・ランプなどの車両周りでは、以下のような項目をチェックします。
- 空気圧は適切か
- 亀裂や損傷、釘や石などの異物が刺さっていないか
- 溝の深さ(スリップサインが露出していると、使用限界のサインです)
- ヘッドランプ、車幅灯、パーキングランプ、ストップランプ、テールランプ、ウィンカーは正常に点灯するか
- レンズに汚れや損傷等はないか
3-3. 運転席周り
運転席に座ったら、ブレーキやエンジン、ガラスなど、運転席回りの以下のようなポイントを確認しましょう。
- ブレーキペダルに問題がないか
- 駐車ブレーキ
- エンジンの低速・加速
- ウィンドウ・ウォッシャ液の噴射状態
- ワイパーの動作
- ミラーに汚れや破損がないか
4. 点検実施のポイント
社用車の点検は、これまでご紹介したように従業員の安全確保とリスク回避のために重要です。
適切に実施できるよう、以下のポイントを意識しておきましょう。
4-1. 点検の重要性を社員に共有する
まず、点検の重要性を従業員に共有することです。
日常点検は定期点検や車検のように専門家に依頼するわけではなく、運転者となる従業員などが日々行うことになります。
そのため、従業員が点検の重要性を正しく理解しているかどうかによって、点検の精度に関わってしまうこともあり得るでしょう。
安全運転研修の実施など、点検の重要性を知ってもらうことが、今後のために大切になりますね。
4-2. チェックシートを作る

日常点検を怠らず、適切に実施するためには、チェックシートを作るのも有効です。
前章でご紹介したように点検の項目はその場所ごとに複数あるため、漏れなく点検を行えるよう、あらかじめ日常点検用のチェックシートを作成しておくと良いでしょう。
4-3. 点検結果は記録・保存する
点検の結果は、その内容を記録し、「点検整備記録簿」として一定期間保存しておきましょう。
保管が法的義務となっていることもありますが、特に社用車の数が多い企業では、点検の結果や部品交換の時期などを把握しておくことが、事故や不具合の発生時などにとても役立ちます。
点検整備記録簿は、定期点検にて3ヶ月点検・6ヶ月点検を行った際は1年間、1年点検を行った際は2年間の保管期間が義務付けられています。
まとめ
今回の記事では、社用車を安全に使用するために必要な点検について、点検の種類や重要性、ポイントなどを詳しくご紹介してきました。
法的義務のある車検・定期点検以外でも、社用車では日常からチェックを行うことを習慣づけ、不具合をいち早く見つけることが重要です。
また、点検の漏れなどを防ぐためには、適切な車両管理も重要です。
車両管理システムやアウトソーシングなどのサポートを受けながら、効率的な車両管理を行っていきましょう。
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