自動車のリコール制度について

 生活や仕事をするうえで、自動車は大変便利なものです。便利な乗り物だからこそ、安全快適に使用したいものですね。日頃の点検整備は大切ですが、それ以前の不具合があった場合にはリコール制度が車の安全性を守ります。皆さんはリコール制度についてどれくらいご存知でしょうか?

そこで今回は、自動車のリコール制度についてお話したいと思います。

リコール制度とは

リコール制度とは、車の設計・製造過程に問題があったために、道路運送車両法にて定められた保安基準に適合しない不具合が発生した場合に行われます。これは設計・製造に起因する不具合を無料で回収・修理することで、事故やトラブルを未然に防止し、ユーザーを保護するための制度です。

政府が定める「自動車のリコール制度」とは、自動車、タイヤ、チャイルドシートが対象になります。

リコール制度とは

 リコール制度は自動車メーカーが自主的に行うリコールと、国土交通省の勧告・公表・命令などによるリコールの2つがあります。リコールの基本となるのは、自動車メーカーが自主的に行うリコールです。自動車メーカーが自主的にリコールを行う場合には、不具合の状況やその原因、改善措置の内容、ユーザーなどへの周知の方法について、あらかじめ国土交通省に届け出ることが義務付けられています。届出後、自動車メーカーはできるだけ早くリコール情報を対象となっている自動車のユーザー等へ周知し、対象車の改善措置を実施するよう努めなくてはなりません。

 また、自動車メーカーなどによる自主的なリコールが行われていない場合でも、事故や不具合が著しく生じているなど保安基準に適合していない恐れがあり、その原因が設計・製造過程にあると国土交通省が認めるときは、必要に応じて国が原因調査を行い、メーカーなどに対し必要な改善措置を講ずることを勧告します。もし勧告に従わない場合にはその旨を公表し、それでもなお正当な理由なく勧告に従わない場合には、リコールを実施するよう命令します。リコール命令に従わなかった場合には、責任者や法人に対し罰金や罰則が科せられます

メーカーと国

 また、リコール以外にも次のような回収・修理の種類があります。

1:改善対策

 改善対策とは、リコールとは異なり、道路運送車両の保安基準に規定はされていないが、不具合が発生した場合に安全の確保及び環境の保全上看過できない状態であって、かつ、その原因が設計又は製作過程にあると認められるときに、自動車メーカー等が必要な改善措置を行う事を言います。

2:サービスキャンペーン

サービスキャンペーンとは、リコール届出や改善対策届出に該当しないような不具合で、商品性・品質性の改善措置を行うことを言います。

リコール通知が届いたら

作業予約 リコール通知が届いたら、安全確保の観点などから修理を必ず受けるようにしましょう。リコール対策の作業に費用は一切発生しません。事故につながる不具合が含まれる場合もあるので、できるだけ早く受けるのがよいでしょう
 通知には不具合の内容と併せて、実施する作業内容とおおよその作業時間も記載されていることがほとんどです。修理依頼が集中し混雑する場合がありますから、待ち時間を減らすためにも事前に近くの販売店に連絡して、作業予約をするとよいでしょう。

 なお、道路運送車両法では、自動車ユーザーにも常に自分の車が保安基準に適合するよう点検・整備する義務があります。「販売店へ行くのが面倒くさい。ユーザーは悪くないだろう」と思いがちですが、リコール対応を放置するという事はこの義務を放棄したことになります。不具合が発生し、保安基準を満たしていない状態で使用すると、ユーザーの責任を問われる場合もあります。そのため、通知が届いたら放置せず修理を受ける必要があるのです。

最後に

リコール-パソコン使用 自動車メーカーや販売店からのリコール通知を得るためには、自動車登録情報が正しい内容で登録されている必要があります。例えば、引っ越し等での住所変更や、車両の名義変更を行った場合、結婚等で氏名が変更になった時には、自動車登録情報の変更・移転手続きを確実に行うようにしましょう。
 また、国土交通省ではリコールにつながる不具合を早期に発見するため、自動車の不具合情報ホットラインを設置してユーザーからの不具合情報をインターネットや電話で受け付けています。ユーザーから寄せられた情報は、自動車メーカーにリコールをさせたり、リコール隠しを防止するために活用されます。また、リコールや不具合等に関する情報は国土交通省のホームページにまとめられています。安心して車に乗るためにも、こうした情報を積極的に活用していくといいでしょう。

 前述したとおり、購入した車を安全な状態に維持していくことはユーザーの義務です。不安全な状態を放置したせいでご自身だけでなく、同乗している家族や会社の仲間、友人たちを危険に巻き込む可能性もあることを決して忘れてはいけません。