重大な事故を引き起こす可能性がある危険な行為である、「居眠り運転」。
居眠り運転で交通事故を引き起こしてしまった場合、運転免許に対する様々な法的罰則はもちろん、損害賠償や慰謝料が生じ、運転者はもちろん、企業でも責任が生じることもあるでしょう。
今回はそんな居眠り運転の罰則・違反点数などとともに、従業員の居眠り運転で生じる企業の責任や、居眠り運転を防ぐための対策まで詳しく解説していきます。
1. 事故につながりやすい「居眠り運転」とは

「居眠り運転」とはその名の通り、運転中に居眠りをしてしまう行為を指します。
道路交通法において居眠り運転に対する直接的な記載はありませんが、道路交通法第70条で定められる「安全運転の義務」に違反する重大な危険行為です。
運転者が居眠りしてしまうことで、危険の察知・回避といった安全行動を取ることができなくなり、深刻な交通事故を招きやすくなるでしょう。
2. 居眠り運転の罰則・違反点数は?
それでは、居眠り運転で事故を起こした場合など、居眠り運転が原因で検挙された場合にはどのような罰則があるのでしょうか。
そのケースごとにご紹介していきます。
2-1. 安全運転義務違反に当たる場合
前述したように居眠り運転は明確な違反項目として記載されているわけではありませんが、道路交通法第70条で以下のように規定される安全運転義務違反とみなされる場合があります。
安全運転義務違反とみなされれば、普通自動車で9,000円の罰金と違反点数2点が加算されることになり、反則金を納めない場合には3か月以下の懲役または5万円以下の罰金が科されます。
2-2. 過労運転等違反に当たる場合
居眠り運転は、過労や薬物の影響が原因である場合など、状況によっては過労運転と判断される場合もあるでしょう。
過労運転は、道交法第66条で以下のように明確に禁止されています。
過労運転とみなされた場合には、安全運転義務違反と比較して罰則は格段に重たくなります。
具体的には、違反点数25点となり即座に免許取り消しとなり2年間は免許取得ができなくなるほか、反則金を納めて刑事手続きを免れる制度も適用されず、刑事罰として3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
2-3. 物損事故・人身事故で生じる責任

居眠り運転が原因で物損事故を起こした場合、軽微な事故では上記のような安全運転義務違反・過労運転での罰則が科されますが、民家や道路構造物の破壊などが生じた場合、民事上での賠償責任が発生するでしょう。
人身事故を起こしてしまった場合には、罰則はさらに重くなります。
事故の原因が過失か故意かによっても適用される法律は異なり、それぞれ以下のような罰則が科されます。
| 該当するケース | 違反点数 | 刑事罰 | |
|---|---|---|---|
| 過失運転致死傷罪 | 睡眠不足・過労などでうっかり居眠りをしてしまった場合 | 基礎点数:2点 付加点数:3点~20点 |
7年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 |
| 危険運転致死傷罪 | アルコール・薬物などの影響で居眠りをした場合 | 基礎点数:45点~62点 付加点数:2点~20点 |
負傷:12年以下の拘禁刑 死亡:15年以下の拘禁刑 |
3. 居眠り運転によって発生する企業の責任
車を使用する企業で業務中に居眠り運転による事故が発生した場合、運転者である従業員だけではなく、企業にも様々な責任が発生する可能性もあります。
3-1. 使用者責任
使用者責任とは、従業員が業務中に第三者に損害を与えてしまった場合に、雇用主となる企業が損害賠償責任を負うというものです。
これは民法第715条にて、以下のように定められています。
車を使う企業ではこの使用者責任が生じるため、業務中に居眠り運転が原因で交通事故を起こし、物損事故・人身事故など第三者に損害を与えてしまった場合、会社はその被害者に対する損害賠償責任を負うことになります。
3-2. 運行供用者責任
運行供用者責任とは、自動車損害賠償保障法第3条にて定められる、自動車を所有し、業務のために運行させるものが負う賠償責任です。
従業員が会社が所有する社用車・リース車などで業務を行う場合、企業は「運行供用者」となり、その運行に責任を持たなければなりません。
運行供用者責任は使用者責任より適用される範囲が広く、免責のハードルも高いため、業務中の居眠り運転が原因による事故の場合には、企業は責任を免れないでしょう。
4. 居眠り運転を防ぐための対策

居眠り運転を防ぐためには、睡眠不足を防ぐなど、日頃から対策を講じることが重要です。
ここでは、「運転者ができる対策」と「企業ができる対策」の2つに分け、その対策内容をご紹介していきます。
4-1. 運転者ができる対策
まず、運転者が日頃から行える対策として、次のようなものが挙げられます。
- 適切な睡眠時間の確保
- 体調管理の徹底
- 持病の把握
- 長時間運転を避け、こまめに休憩をとる
- カフェインで眠気を和らげる
- 15分程度仮眠を取る
運転の基本的なことではありますが、意識することで居眠り運転のリスクを減らすことができるでしょう。
4-2. 企業ができる対策
続いては、従業員の業務中の居眠り運転を防ぐため、企業がしっかりと行っておきたい対策です。
- 無理のない運行計画
- 点呼の徹底と体調・睡眠状況などの確認
- 健康診断の整備など、健康管理のサポート
- 安全運転教育を実施し、居眠り運転の危険性を伝える
- 車両管理システムの導入
過労や睡眠不足状態での運転にならないよう無理のない運行計画を立てることや、日頃から健康管理のサポートを行うことはもちろん、安全運転教育・講習は定期的に実施し、安全意識を高めることも重要です。
また、従業員の安全をより効率的に確保するために、車両管理システムの導入もおすすめです。
点呼やアルコールチェックの徹底を効率的に行えたり、中には運転者の運転傾向を分析できる機能があるものなど、車両管理システムでは、安全運転を支援する様々な機能を活用することができるでしょう。
リンク:キムラ交通安全センター
リンク:キムラユニティー 車両管理BPO
まとめ
今回の記事では、居眠り運転で検挙された場合罰則はどうなるのか?企業にも責任が生じるのか?といった疑問に対し、ケースごとの具体的な罰則内容から企業に生じる責任、また、運転者・企業それぞれが行うべき居眠り運転対策についてもご紹介しました。
従業員の業務中の居眠り運転による事故などがあった場合、企業は賠償責任が生じるのはもちろんですが、社会的な信用を失うリスクになってしまうこともあり得ます。
従業員の安全と企業活動を守るためにも、車両管理システムの導入など、様々な対策を日ごろから行い、安全運転確保を徹底することが重要になるでしょう。


