ナンバープレート表示基準の明確化

 国土交通省は2015年12月28日、2016年4月1日に施行される道路運送車両法と自動車検査独立行政法人法の一部法律改正に合わせて、自動車のナンバープレートの表示に関わる新基準を公表しました。皆さんはナンバープレートの表示基準が明確に定められたことをご存知ですか?
 そこで今回は、新しいナンバープレート表示の基準について解説したいと思います。

主な変更点

 一番の変更点は基準が数値を用いてより具体的に示されたことです。現在の道路運送車両法でも「ナンバープレートは見やすいように表示しなければならない」と定められています。しかしナンバープレートが見にくいかどうかの基準が具体的数値などで示されてはおらず、曖昧なものでした。これを受けて新基準では取付角度、フレーム許容サイズ、ボルトカバーなどについての基準が数値化され、具体的に示されることとなりました。

禁止項目

 次のような行為は明確に禁止されます。

1:ナンバープレートカバーの取付け

 新基準ではナンバープレートカバーの装着が全面禁止されます。色つきはもちろん、無色透明のカバーでも装着してはいけません。 ナンバープレートカバーの装着

2:回転

 大型二輪車で見られるナンバープレートを回転させ、リアフェンダーの左右どちらかに移設する「サイドナンバー」カスタムが禁止になり、ナンバープレートは水平に取り付けることになります。 ナンバー回転禁止

3:被覆・汚れ・物品の取付け

 ナンバープレートに番号の識別が困難になる汚れやステッカーなどをつける事は禁止されます。また、ナンバープレートフレームやボルトカバーを使っている場合にも注意が必要です。今回、ナンバープレートのすべての文字が判読できるようにフレームとボルトカバーについての具体的基準が定められました。基準に合致しない場合は使用することができなくなります。また、バイクのナンバープレートフレームは使用が禁止されます。 ナンバー被覆

4:折り返し

ナンバープレートの角度を変えることで、番号の識別に支障が生じるとして、新基準ではナンバープレートの折り返しは禁止になります。 ナンバー折り返し


 これらの禁止行為だけでなく、ナンバープレート表示に関する具体的なサイズや角度が数値で規定されています。ただし、新基準が全面適用される平成33年4月1日までの間は、猶予期間が適用されます。これはすでに販売中の新車やアクセサリー用品に関して、自動車メーカーおよび販売会社が商品の変更を行えるようにするための猶予期間であり、すでに所有している車両は適用外となります。

項目前面のナンバープレート
後面のナンバープレート
位置 番号(ナンバープレートのすべての文字をいう。以下、同じ。)の識別に支障が生じないように、見やすい位置

上下向き※1 1603_5.jpg 1603_7.jpg 1603_8.jpg 1603_10.jpg
左右向き※1 1603_6.jpg
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回転 水  平
被覆・汚れ・物品の取付 禁止(封印、検査標章・保険標章、下記のフレーム・ボルトカバーを除く。)
フレーム※1 ●幅※2が上部10mm、左右18.5mm以下、
 下部13.5mm以下
●厚さが※3が上部6mm以下
 (上部の幅が7mm以下の場合は10mm以下)
 その他30mm以下
●脱輪する恐れのないもの
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ボルトカバー ●直径が28mm以下であって番号に被覆しないもの
●厚さが※3が9mm以下
●脱輪する恐れのないもの
その他 ●確実に取り付けていること
●折り返されていないこと、表裏・上下が逆さでないこと等、番号の識別に支障が生じないこと

※1 角度(上下向き・左右向き)、フレーム、ボルトカバーの基準は、平成33年4月1日以降に初めて登録・検査・使用の届出がある自動車について適用する。(平成33年3月31日までに登録・検査・使用の届出がある自動車については、自動車の運行中番号が判読できるような見やすい角度によること、番号を被覆せず、脱落するおそれがなく、自動車の運行中番号が判読できるフレーム又はボルトカバーを取り付けることができる。)
※2 ナンバープレートに取り付けたときの当該ナンバープレートの外縁からフレームの内縁までの長さ
※3 ナンバープレートに取り付けたフレーム・ボルトカバーの当該ナンバープレートの表面から突出している部分の厚さ

罰則について

 では具体的にこれらの基準に違反するとどうなるのでしょうか?ナンバープレートの判読が困難な場合、道路運送車両法の番号表示義務違反となり、交通点数2点と50万円以下の罰金が科せられます。

参考

道路運送車両法 第19条(自動車登録番号標等の表示の義務)
自動車は、国土交通省令で定めるところにより、第十一条第一項(同条第二項及び第十四条第二項において準用する場合を含む。)の規定により国土交通大臣又は第二十五条の自動車登録番号標交付代行者から交付を受けた自動車登録番号標及びこれに記載された自動車登録番号を見やすいように表示しなければ、運行の用に供してはならない。
第73条(車両番号標の表示の義務等)
検査対象軽自動車及び二輪の小型自動車は、国土交通省令で定める位置に第六十条第一項後段の規定により指定を受けた車両番号を記載した車両番号標を表示し、かつ、その車両番号を見やすいように表示しなければ、これを運行の用に供してはならない。

最後に

 企業で管理する車両ではこのような違反が起こる可能性は少ないかもしれません。ですが車両管理の観点で考えると、社用車の整備不良や基準違反の管理は極めて重要だと言えます。例えばナンバープレートが泥で汚れてナンバーが見えにくい場合、故意でつけた汚れでなくとも表示が識別できない場合には基準を守られていないことになります。
 取り入れやすい対策としては運行前点検の実施が考えられます。チェック表を作成し、記入を徹底させるのはいかがでしょうか。コンプライアンス遵守はもはや企業に当たり前に求められます。管理車両から整備不良や基準違反の車を出さないよう、日々の管理に注意を払うことが大切です。