キムラユニティーの車両管理BPO

踏切事故に遭わないためには

 202510月、JR高山線 蘇原~各務ケ原間の踏切で8両編成の特急ひだとキャリアカーが接触し、20人が負傷する事故が発生しました。この事故は鉄道利用者や近隣住民にも大きな影響が及び、企業の社会的責任を揺るがす事態となりました。そこで今回は、踏切事故の発生原因や事故を起こさないための対策についてお話したいと思います。

 

踏切事故の発生状況

 踏切事故の件数は、1960年代の5,000件超から200件台となり長期的には減少しています。しかし、2021年に200件を切ったものの2023年は258件発生しており、近年は200件前後で推移しています。

 踏切事故の原因のほとんどは直前横断と言われています。列車が接近している状態で急いで踏切を渡る、さらに遮断機が下りているにもかかわらず踏切へ侵入するといった無理な横断をして事故に遭うケースが半数近くを占めています。その他には渋滞やエンストで車両が取り残される立ち往生、車両故障・トラブル、車の操作ミスによる停滞が挙げられます。

また、警報機や遮断機のない第4種踏切や開かずの踏切といった踏切の構造的な問題も事故の原因として指摘され、対策として踏切道の立体交差化や保安設備の整備が進められています。

 

守ろう!踏切横断時のルール

 踏切事故の事例の中には横断者が守るべきルールを守らなかった状況も見受けられます。踏切の横断ルールは道路交通法でも定められている、全ての踏切で守る必要のあるものです。今一度ルールを確認し、安全な踏切横断を行いましょう。

 

1:踏切の直前では停止

2511_1_1.png 歩行者、自動車、二輪車問わず、踏切の直前では一時停止する必要があります。周囲の安全をで列車が接近していないことを確認してから踏切を横断しましょう。(道路交通法第33条第1項)

 

2:警報機や遮断機が作動したら、絶対に進入しない

2511_1_2.png 踏切に設置されている警報機や遮断機は、列車が踏切に到達する数秒前から作動します。遮断機が降り切ったら列車は直後に通過するため、決して踏切内に侵入してはいけません。(道路交通法第33条第2項)

 

3:踏切内でとどまらない

2511_1_3.png 横断中は踏切内でとどまることなく、安全に横断する必要があります。そのため、前方に十分なスペースが確保されるまでは車を発進させず待機するようにしましょう。

万が一踏切内で脱輪、エンジン停止等のトラブルが発生して車が停留してしまった場合は列車に危険を知らせる、車を押して踏切外へ移動させるなどの措置を講じる必要があります。(第33条第3項、第50条第2項)

 

もし踏切でトラブルに遭ったら

 万が一、踏切内で閉じ込められた場合の対応をご紹介します。

・車が動かせる場合

2511_1_4.png 慌てずそのまま車を進め、遮断桿を押し上げて脱出します。ゆっくり車を進めれば、遮断桿が折れることはありません。万が一遮断桿が折れたとしても問題はありませんので、踏切外への脱出を最優先に行動しましょう。遮断桿が折れた場合は警報機に記載されている看板の連絡先へ電話をし、その旨を伝えましょう。

 

・車が動かせない場合

2511_1_5.png エンストや脱輪で車が動かせない場合は車から降り、まずは踏切の外へ脱出しましょう。そして、踏切に設置されている非常停止ボタンを押し、列車の運転士に異常を知らせます。その後、警報機に表示されている連絡先へ電話で知らせます。非常ボタンがない場合は車に備え付けられている発煙筒を焚いて危険を知らせてください。

 踏切に人が取り残されているのを発見した場合も、まずは非常停止ボタンを押しましょう。高齢者や障がい者など危険に気づいていない場合もありますので、大きな声で呼びかけてみてください。ただし、無理に線路に入って救出することはせず、自身の安全最優先で行動することが大切です。

 

最後に

 踏切事故が発生すると、事故処理に伴う長時間の運転見合わせなど鉄道を利用している多くの人にも影響が及び、場合によっては鉄道会社から損害請求を受ける場合があります。また、踏切事故は列車脱線事故といった大事故も誘発すると言われています。

踏切事故を防ぐには、踏切手前での一旦停止や安全確認など、基本的なルール・マナーの遵守が求められます。一人一人が意識することはもちろん、企業内で安全運転管理をされている方は、従業員への教育も忘れずにお願いします。