サポカー・サポカーSって何?

 皆さんは高齢運転者によって起こされる事故の割合が年々上昇しているのをご存知でしょうか。2016年は75歳以上の高齢運転者が起こした死亡事故が459件あり、全体の13.5%を占め、この割合が年々上昇しています。高齢者の事故の特徴(人的要因)として、ハンドル操作の誤りやブレーキとアクセルの踏み間違いなどが原因の「操作不適」が全体の28%を占めています。
 そこで政府は高齢運転者の交通事故防止対策の一環として、「サポカー」「サポカーS」の普及活動を開始、各自動車メーカーでも対象車への表示が始まっています。

 ところで皆さんは「サポカー」「サポカーS」という言葉は耳にしたことがあるでしょうか。そこで今回は、サポカー・サポカーSについてお話したいと思います。

サポカー・サポカーSとは

サポカーマーク サポカーとは「セーフティ・サポートカー」の略称で、自動ブレーキを搭載した車を指します。車載のレーダーやカメラにより前方の車両や歩行者を検知し、衝突の可能性がある場合には、運転者に対して警報します。さらに衝突の可能性が高い場合には、自動でブレーキを作動します。前車との追突回避等に効果的で、全ての運転者に推奨する自動車です。

 一方サポカーSとは「セーフティ・サポートカーS」の略称で、前述の自動ブレーキに加え、ペダル踏み間違い時加速抑制装置等を搭載した、特に高齢運転者に推奨する自動車です。アクセルとブレーキの踏み間違えによる事故に効果的です。

 さらにサポカーSには機能に応じて3つの区分があります。

ベーシック 低速自動ブレーキ(対車両)※4、ペダル踏み間違い時加速抑制装置※1
ベーシック+ 自動ブレーキ(対車両)、ペダル踏み間違い時加速抑制装置※1
ワイド 自動ブレーキ(対歩行者)、ペダル踏み間違い時加速抑制装置※1、車線逸脱警報※2、先進ライト※3

※1 マニュアル車は除く。※2 車線維持支援装置でも可。
※3 自動切替型前照灯、自動防眩型前照灯又は配光可変型前照灯をいう。※4 作動速度域が時速30km 以下のもの。

 この「サポカー」と「サポカーS」は、経済産業省と国土交通省が推進する高齢運転者による交通事故対策の一環として、2017年春に愛称が決定しました。
 現在自動車メーカー各社は様々な運転支援パッケージを提供していますが、その違いを比較するための指標としても、サポカー・サポカーSの分類制度は高い期待が寄せられています。

サポカー・サポカーSの技術

ぶつからない技術(自動ブレーキ)

 車載レーダーやカメラにより前方の車両や歩行者を検知し、追突の可能性がある場合は運転者へ警告します。さらに衝突する可能性が高い場合には自動でブレーキが作動します。

プリクラッシュセーフティーシステム イメージ

飛び出さない技術(ペダル踏み間違い時加速抑制装置)

壁に追突 停止時や低速歩行時に車載レーダー、カメラ、ソナーが前方・後方の壁や車両を検知している状態でアクセルを踏み込んだ場合、急加速を防止します。最近増えているアクセルとブレーキの踏み間違えによる建物への追突を防ぐことができます。

はみださない技術(車線逸脱情報)

車載カメラにより道路上の車線を検知し、はみ出しそうになった場合やはみ出した場合に運転手へ警告します。

レーンディパーチャーアラート イメージ

ヘッドライト自動切り替え技術(先進ライト)

ヘッドライトを自動で切り替えることにより、夜間の歩行者等の早期発見に役立ちます

 前方の車を検知してハイビームとロービームを切替えるだけでなく、ハンドルやウインカーの操作に応じてライトの照射範囲を制御したり、前方の車を検知してハイビームの照射範囲を部分的に減光したりすることができます。

 サポカーの今後

 各自動車メーカーの努力により、自動ブレーキ等のサポカー機能は標準装備化が進んでいます。現在国内乗用車メーカーにおける自動ブレーキの新車搭載率は45.5%(2015年時点)で、約4分の1の車に搭載されています。政府は2020年までにこの割合を90%以上にすることを目指しています。
 また、サポカーは事故防止や被害軽減が期待できるため、2018年1月より自動ブレーキ装着車の任意自動車保険料が9%割引になるとされています。これから車の買い替えを検討される場合はサポカー・サポカーSの対象車から検討するのもいいかもしれません。

最後に

 ブレーキの踏みそこないやペダルの踏み間違えは、少しの不注意や焦りなどによって誰の身にも起こりえることです。それを検知して安全運転を支援してくれるのが、サポカー、サポカーSです。ただしサポカーは自動運転とは異なり、安全運転支援の技術を搭載した車であって、その機能は万が一の備えでしかありません。ですから装備されているからといって100%安全ということではありません。機能を過信せず、運転手が安全運転を心掛けることが前提です。
 サポカー・サポカーSがさらに普及することによって、交通事故の少ない安全な社会になっていくことを願うばかりです。